第163話入園準備
「それで、肝心の入園手続きなのだけれども。
学園に通うことは義務付けられているので日程は確定しているわ。
ただ事前に試験を受けて貰う必要があるわ」
なんでも、学力に合わせてクラス分けが行われるとのこと。
「同じ年代ぐらいの子が試験を受けれるの?」
「ウィリィンぐらいの子でも頭脳明晰な奴はいないことはない。
それに試験は解くまでの時間や解答内容に合わせて難易度が変化するようになっておる
なので、試験が難しすぎる、簡単すぎるといったことは起こらぬよ」
なんと自動的に難易度が調整され、その人の能力をしっかりと判定されるのだ。
「まあ、逆に言うとこれを作ったのも人だわ。
それで正確に測られるということはまだまだ好敵手が多いということでもあるわ。
ま、それこそ中々いないから大丈夫だと思うけれども」
その人の力量を見極める試験なのだ、出題者、1人とは限らないが、それの集合知は測れる時点でそれより下位に位置することが分かる。
まあ、何が言いたいかといえば実力に合わせ変動し、実力をほぼ正確に捉えられる試験ではあるが、その領域から逸脱する怪物級の人は割といるということだろう。
「まあ、試験で良い点を取れたで満足し過ぎぬようにな。
ちなみに手は抜かぬ方が良いぞ?
というか出来ぬな」
「え!?」
ウィリィンは敢えて恐らく存在するであろう戦闘に関する試験で手を抜けば、周りの子も必然的に弱くなるため、脅威となりうる人達とあまり関わらずに過ごすことができると考えていた。
「戦闘関連の試験では心拍や全身の疲労、そういったものも逐一チェックされてるの。
余力があるか否かはそれを見て判断される上、死んでも終わりじゃないから、出し尽くすまで永遠に戦わさせられるわよ?」
「ええ...?」
思った以上にハードな試験らしい。
その人の全力を正確に測り取れるというのは裏を返せば全力を出し尽くすまで試験が終了しないことを意味するらしい。
「それで、問題は魔力が空の状態で死ぬとお主、耐えられるか?」
「あっ...」
ウィリィンは最近は死ぬことにも慣れてきたが、それは癒しの炎で自身を保護し、痛みを緩和しているからだ。
それができない時は2人のうちどちらかがサポートに入ってくれるため、事なきを得ている。
それにできることなら死にたくないのは今でも変わってない。
魔力が空っぽ、つまり全力を出し尽くした状態というのは癒しの炎を出せない状況になる。
「全力を出し切るだから、別に絶対に死ぬ必要はないんだけど...」
「学園は7人の領主全員が運営に関わっているのでな、特別処置等は設けられぬ」
全力は隠せないが、全力を出し過ぎると死んだ時の反動が耐えられるか分からない。
「じゃ、じゃあ、どうしたら...?」
流石に綺麗に全力を出し尽くし、やられないことを祈るのは現実的ではないだろう。
それに、ウィリィンが死に対してこのような感情を持っていること事態が拡散するのも弱点になりうる。
「方法は幾つかあるわ。
まずは試験を計測不能なレベルにこなすこと。
まあ、今のウィリィンには難しいわね。
次に魔道具の類を作成しておくこと。
他人から貰った魔道具はダメだけれど、自身で作った、ものは試験時に持ち込んでも大丈夫なの。
ダンジョンの宝箱とかでも大丈夫よ。
とにかく自身の力のみで手に入れたものであれば持ち込めるわ」
自身の力のみという部分がミソで、何かしらの対価を払い入手したり、素材を準備してもらったりするとアウトになるそうだ。
「あとは簡単な方法だと試験開始後に癒しの炎を後から発動できるように先に魔力を支払ってしまう方法だ」
要は魔法を待機状態で置いておくことで用途を固定しておくという。
そうすると他の使い方へは転換できないのでその状態で全力を出し切れば、晴れて癒しの炎分の魔力を確保しつつ、試験を終えることができるというわけだ。
ただ問題点もある。
「待機時間がながければその分魔力は減っていってしまうし、相手に待機中の魔法を破壊される恐れもあるわ」
魔道具の場合は減りはしないが、破壊される恐れは同様にあるようだ。
「ということで、ウィリィン、おぬしには魔道具づくりと魔法を待機状態で特に魂再中をトリガーに発動できるようにしておけ」
「勿論2人で教えるわ。
ただ、魔道具づくりはルリィウィンの兄妹に適任がいるのよね?」
「そうだな、後日フェアと一緒に訪れるといい。
ああ、ちなみにだが試験まではあと30日だ。
気を抜いているとあっという間に過ぎ去るのでな全力で取り組むといい」
「え!30日...」
過ぎた時は戻ってこない解決法は伝授されたので、それに向けて真剣に取り組むのみ。
「あと、試験は14日間よ。
泊まりではないけれど、長期戦だから頑張ってね」
「な、長い...」
長ければ不慮の事故も起こりやすくなる。
「というか、そんなに長い試験精神年齢の幼い子は耐えられないのでは?」
ウィリィンがもっともなことを口にする。
「ああ、それは問題ない。
普通な子は遊びに来たとしか思わんだろうよ」
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