第151話トラップ対策対策

ウィリィンは魔力を沢山使えば勝つことは容易であるが、どう消耗を抑えて倒そうか考えているとフェアが先に仕掛けた。

オークのフォローに入ろうとしたゴブリンが急に転び、カバーが間に合わなくなる。

フェアが気付かれないようにゴブリンの足元にワイヤーで罠を設置していたのだ。

そのままオークを始末したフェアは隙だらけのゴブリンも倒す。

ウィリィンは2体がやられて視線を逸らしたオークの心臓にダガーを突き刺し、こちらにもとどめを刺した。


「敵に連携されるとこうも戦いづらいのか・・・」


「いやー、ゴブリンがまあまあ賢いし、視野の広さも結構あったねー」


ちなみに今回はドロップはなし、魔物の強さという面ではゴブリンはかなり冴えた立ち回りをしていて、十分ドロップする資格がありそうな気がするが、戦いで使われた魔力の量が足りなかったとのこと。


そして再度進もうとしたタイミングで後方からガタンと何かが動く音がした。

振り返ってそちらの方を見ると、オークに肩車されたゴブリンがスライムを使ってウィリィンが施したトラップ止めを解除しているところだった。


「「あっ・・・」」


「おい、お前ら何しやがるっ」


ウィリィンが開放したゴブリンたちに抗議の声をあげるが、ゴブリンたちは嘲笑うようにこちらを見るだけである。

そして、トラップから出てきたバット、スライム3体ずつが攻撃を仕掛けてきて、戦いの火蓋が落とされた。


「あららー。

せっかく閉じてたのに開けられちゃったねー」


フェアは攻撃をいなしながら答える。

まあ、戦い自体は全然歓迎しているのだが、トラップ対策を無力化されてしまったことについては少々悔しく思っている。


「前衛は少なめだけど、遠距離攻撃が鬱陶しいな・・・」


バット3,スライム4、ゴブリン1による攻撃はかなり脅威であり、回避、ガード以外のことに頭を回す余裕がほとんどない。

ちなみに凝固剤は振りかけようとするとオークが身を張って守ってくるのと、バットが風を強くして飛ばしてくるためスライムに当てることができていない。

オークはガード中心の堅実な立ち回りをしてくる。


「うーん、オークがほんとに堅実だねー。

それなら盾でも持たせればいいのにー。

さて、ウィリィン、今チューニングしてるからもうちょっと待ってねー。

ただ、あんまり膠着状態は続くとゴブリンに感づかれるかもだから、圧力はかけつつねー?」


「あいさー」


フェアがオークに攻撃を仕掛けながらバットの出す超音波を聞き取り、周波数を合わせている間にウィリィンもバットたちの攻撃をいなしつつ、凝固剤とみせかけて、ただのそこらへんにある砂利を拾っては投げつけている。

これをする魔物たちはスライムに対して外のあるものを投げつけていると認識してくれるので、わざわざスライムたちを守るため攻撃の手を緩めて防御に力を割いてくれるのだ。

お得である。


「うっし、準備できたよー。

んじゃ、たたみかけるからねー」


チューニングが完了したフェアは超音波を発し、バットたちの動きを阻害する。攻撃が弱まった瞬間を狙い、フェアがオークを倒そうとするが、それはゴブリンの短刀によって妨害される。

しかし、ゴブリンの身体は一つしかなく、ウィリィンはオーク、ゴブリンをすり抜け、スライムたちに凝固剤を振りかけつつ、更に墜落してるバットたちにとどめをさしていく。

これはまずいと感じたのかゴブリンがオークのフォローをやめてウィリィンに対して攻撃を加えようとするが、ということはフェアの対処はオークだけになるわけで、背を向けたタイミングで後頭部にナイフを投げて倒し、その流れで残ったオークも処理された。


「ふう。

んじゃ、進もうか」


二人は更に奥を目指す。

今までのように集団で襲い掛かってくることは減ったが、その分奇襲の類が増えた。


トラップがかなり凶悪なものもあり、


目の前から鉄球が転がってきたり、作動自体は目の前にいたゴブリンがタイミングを見て行っていた。

ゴブリンは視認できていたものの、周囲に敵の反応は見当たらないので直接的な殺傷トラップだと思って警戒をしていたが、トラップの発動場所がゴブリンよりも後ろであるため、気を付けていてもどうしようもないのであった。


「でっかいぃぃぃぃぃ!?」


2人はダッシュで来た道を戻り、曲がり角に差し掛かるところまで下がるが、なんと曲がり角に差し掛かるとこちらに跳ね返って追いかけてくる。


「あれー?

この球、動きがおかしいねー」


まず、ぼこぼこしている洞窟の地面をこの速度で進んできているのもおかしいし、平面を進み続けているのに減速するけはいがないのもおかしい。

そして一番おかしいのはこちらを追跡して追いかけてくることだろう。


「なんでこちらのことを追いかけてくるのさぁぁぁぁぁ!?」


ウィリィンは絶叫しながらも走り続ける。

こちらを追跡してきていることに気づいてからはマップを見ながら行き止まりに行かないように工夫しながら走り続けている。

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