第146話オーク
「ま、そこら辺は慣れかなー。
目で見えなくても周囲の様子は魔力とか使えば分かるから、その感覚を養い続ければ、いいよー」
これも鍛錬あるのみということだろう。
魔力で認識できる情報と、眼から認識できる情報には異なる部分があるので、注意は必要だが。
その後もトラップを利用した挟み撃ちは何度か遭遇したが、何度も見ればその対処法も自ずと見えてくる。
まずはトラップを起動させてくるゴブリンを先制して倒してしまうこと。
問題は少しでも気づけれるとトラップを起動させてくるのと、やられながらでも起動させてくるので確実性がない。
ならばとそもそもトラップが開かないようにすれば良いということで怪しいゴブリンを見かけたら自身の頭上や、地下部分を探り、該当する場所を粘着性のある物質で固定してやれば、出てこれなくなる。
「ま、ちょっと物質作るのに魔力使うけど、戦うのに比べたらいいか」
「ウィリィンナイスー。
もうちょっと深い所に時間使いたいからねー。
これでもっと進む速度が上がるよー」
「挟まれて戦うのも鍛錬と考えれば悪くないんだけど、対策できるならしないとね」
それからは基本的に正面からの戦闘になるのでほぼ語ること無く攻略が進む。
強いて言うならトラップが起動しなかった時のゴブリンの慌てた顔が面白かったぐらいか。
「さてとー。
そろそろ歯ごたえのある魔物がお出ましかなー」
フェアの宣言通り現れたのは、大の大人ぐらいの大きさをした二足歩行で顔面豚の魔物。
「オークだねー。
でっぷりしてるけど、あれ脂肪の下は筋肉だから気をつけてねー」
体型は少々腹が出ており、全体的に肉付きが良い感じであるが、割と動けるようだ。
手には片手斧を持っており、間合いに入れば振りかざして攻撃してくるだろう。
「あいつは今までのとは違って急所を狙わないと、一撃では倒せないよー」
確かに、あれだけ分厚い肉を超えてダメージを与えようと思うと、少し大変そうだ。
そんなことを考えているうちにフェアは何処から取り出したのかナイフをオークに投げつけており、それは綺麗に顔面を貫いており、そのまま倒れた。
「脳を一撃、これが確実か...」
「そうだねー、ナイフの回収がちょっとめんどくさいけどー」
「ん?そんなに上等なものでは無さそうだったけど...?
魔力で作ったんじゃないの?」
今はやらないが、片手間で作れるレベルの魔力と労力で生み出せるクオリティのものであった、当然使い捨てだと思ったが
「あー、普段なら一回使ったら捨てるんだけど、魔力はなるべく使わない方がいいからねー。
ストックにも限りがあるし、余裕があるうちはこんな感じで節約しておきたいかなー」
フェアは地面に落ちた少し先程より曲がったナイフを拾い上げながら答える。
「普段からこんな感じの使い捨ての武器って持ち歩いてるの?」
「そうだよー。
ほら、こんな感じー」
フェアは服の色んな場所から武器、刃物の類から針、ワイヤーのような類等様々なものをを取り出して見せる。
「魔力を節約したい時は分かるけど、普段はその場で作れば良さそうな気がするけど...。
動きにくくないの?」
「やっぱその場で生みだすと、何を作ったか見えないようにしてもどうしても警戒されちゃうからねー。
こうやって事前に作っておけば、静かに仕掛けられるでしょー?
動きにくさは動きが阻害されないように服の方が動いてくれるから大丈夫ー。
ウィリィンが普段着てる服もそんな感じの魔法が付与されてるよ?」
「え、知らなかった。
確かに、言われてみれば凄い動きやすい気がする」
ウィリィン達が着る全ての服には戦闘を阻害しないような魔法を付与されているそうだ。
ストレッチ性がとても良かったり、実は破れたり、切れたりしても再生する機能が備わっているそうだ。
あくまで服が影響して動きが鈍くなるのを防ぐ為のものであり、補助等能力の向上に寄与するわけでない。
「ま、そういうもっと直接的な補助をしてくれるものもあるけどねー。
うちはそこまで甘やかすつもりはないので、欲しければ自分で手に入れるか、作れっていうスタンス」
やはり、より戦闘に介入するレベルの効果が付与されている服というよりは防具も存在するようだ。
「へー。
効果次第だけど欲しいかも」
「作ってみたらー?
兄妹の中に詳しい人もいるし、後で行ってみようか」
「よろしくお願いします」
慣れてきたのもあるが、オークが追加されてもそれほど難易度が変わるわけではない。
前衛が増えた分、処理にかかる時間が延びる。
のだが、フェアは元々人の不意を突くような動きが得意であり、
ウィリィンも最近行っている鍛錬の甲斐もあって相手の急所を的確に突く能力は格段に向上している。
前衛を瞬殺してしまえば、遠距離から攻撃を飛ばしてくる敵をその流れで対処すれば良いだけであり、それほど脅威ではなかった。
ただ、それでも嫌らしい組み合わせで現れることはあり、
オークの背は広いのでその部分に色んな他の魔物が引っ付いていたり、
「まあ、魔力で探知すれば何か付いてることは分かるのだけれども。
さっきゴブリンもやってたし」
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