第142話ダンジョン

だが、魔物が倒され、生みだすサイクルでは少しずつロスが出てしまい、ダンジョン内の魔力は減っていってしまう。

では何処から補填、増やすかという話だが、

それを担うのは我々のようにダンジョンに挑む者たちらしい。

彼等はダンジョン内では常に魔力を少しずつ吸い取られるそうで、その量は深く潜るほどに強くなるとのこと。

また、ダンジョン内で死ぬとダンジョンの外へと強制的に排出されるが、その際に一欠片も残さず、魔力を絞り尽くされるそう。


「いやー、あれはねー強烈だよ。

なんか身体の芯の部分が凍りつく感じで、身体に大きな穴が空いたみたい」


「とても行きたく無くなってきた」


ウィリィンは死んだ際のペナルティを聞き、凄い気持ちが落ち込んだ。


「ま、勿論メリットもあるよー」


ダンジョン内には宝箱の類が存在しているらしい。

その中身は未だに作り方が判明していないものも多く、唯一無二のものも多いとか。


「ダンジョンの魔力と、潜っている様々な人の魔力が混ざっているのが原因じゃないかと言われてるねー」


まあ、魔力によって作られるので、沢山戦って魔力を落とせということでもある。

また、深く潜るほどに出てくる魔物は強くなるため


「いいものが欲しければ深くまで潜って沢山暴れろと」


「深く進むということはその分滞在時間、戦闘の回数、諸々増えるからねー」


また、ショートカットなるものも存在しており、特定の場所で魔力を一定値込めると選択した場所へとワープすることができるそうな。

逆に言うとそれ以外の方法ではダンジョンの中で長距離のワープの類はできないらしい。

まあ、まだワープ系の魔法は習得できていない二人には関係ない話ではあるが。


「それに、深さに比例して支払う魔力は増えるからねー」


「ちゃっかりしてるね」


ちなみにダンジョン内で手に入れたものも入り口に吐き出される際に消失する。

つまりは欲を出して自身の実力を見誤ると全てを失った上で搾り取られることになるのだ。


「じゃ、早速行こうかー」


「何か準備するものとかあるの?」


ダンジョンに潜る時間やら注意点など分からないので、フェアに尋ねる。


「うーん、武器の類は勿論として、お昼ご飯ぐらいかな。

今から行ってー、夜ご飯前には帰ってくるよー。

あと、戦利品を入れる用にリュックの類もあるといいかな、お弁当も入るし」


「んじゃ、そこら辺準備できたら食堂に集合して、お弁当貰って行けばいい?」


「うん、そんな感じでー。

じゃ、後でねー」


ウィリィンはフェアと別れた後、腕輪を使ってダンジョンについて調べながら、準備を進める。


「うーん、種類が多すぎて分からん」


ダンジョンは種類によって大きく特性が異なるらしい。

共通していて、先程の話になかったことになるとトラップの類が地面やら壁やらに仕掛けられているとのこと。

勿論、宝箱の類にも。


「うーん、解除方法とか見分け方の動画もあるけど、今から見て覚えられる気もしないし...。

まあ、こういうのがあると知れただけで良しということにしておこう」


ある程度調べ終えたウィリィンはフェアに遅いと言われないようにテキパキと準備を終わらせ、フェアがもう既に待っているであろう食堂へと向かった。


「お、来たねー。

はい、これウィリィンの分のお弁当」


「ありがとうフェア姉」


「んじゃ、忘れ物はないね?

武器、リュック、お弁当はしっかりと封がされているから沢山動いてもグチャグチャにならないって。

よし、じゃ行こうかー」


「お、おー」


食堂の隅の方には既にルリィウィンが準備したであろう魔法陣が設置されている。

フェアに促されるままにその上へと進むと、いつものように転移した。


「とうちゃーく。

んじゃ早速進むよー」


ウィリィン達は洞窟の入り口のような場所に転移していた。

明かりの類は一切設置されていないので洞窟の中は真っ暗である。


「え、あの中進むの?」


「勿論。

ちなみに明かりの類は使わないからねー。

目を強化して、暗闇を見えるようにする感じでー。

あと、中はツルツルしてて滑るし、ガタガタしてるから戦う時は気をつけてね」


「は、はい」


戦う前から環境に適応するだけで、かなり大変そうだ。

そう思いながらも目に集める魔力のピントを合わせながらダンジョンへと入るのだった。


「ま、最初の方は落ち着いて対処すれば大丈夫だからしっかり慣れていこー」


ということで暗闇の中を進んで行くわけだが、フェアが先程注意していた通り、とても歩きにくい。

視界も今は安定して見通すことができているが、咄嗟に動き始めた場合、これを維持できるとは限らない。

そして、足元は岩肌が直接露出したような感じになっており、とても固く、デコボコしている。

更に上から水滴がちょいちょい落ちてくるため、足元は全体的に湿っており、また、滴る音自体も洞窟内部の空間に反響して響くため、かなり不気味な上、敵襲かと身構えてしまう。


「お、最初の敵のお出ましだよー」


ウィリィンの少し前を歩いているフェアがウィリィンに声をかける。

そちらの方に意識を集中すると、何やら小柄、と言っても自身と同じぐらいの身長があるが、で緑の皮膚をした生き物が近づいてくる。

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