第6話母親との対話2

母親が彼いや、彼女に投げかけた言葉に対し、混乱している姿をみて、ニヤニヤし始めた。




(おおう、言葉や所作から疑っておったが前世と性別が異なるとはなぁ?


そう、お主は可愛い可愛い女の子よ、言っておくが私の血を引いている以上美形になるぞ?余計なトラブルを沢山引き寄せるぐらいな?)




(それだけ美人なお母さまに言われると何も言い返せないぃぃぃ)




(フフフフフ、精々励むことだな、さて、授乳の時間だな、ほれ)




彼に対し、先ほど同様ニヤニヤしながら上半身の片方の服をはだけさせ、吸うように指示する。




(ぇ、お母さま、精神年齢的にそれはちょっと恥ずかしいというかなんというか。


とても良く複雑な気持ちになるのですが、しかも外野メイドもいますし)




(分かっていて、言うておる。


羞恥やら色んな感情の入り混じったお主を見て楽しんでおるのよ。ほれ、はよう)




母親急かされ、色々な気持ちを飲み込み、意を決して口に含む




(うぉあ、何だコレとても甘いようなふわふわした...ふぇらぽりあみん?)




一口味わっただけで思考が回らなくなるほどの多幸感と熱がカラダを支配し、世界がグルグル回り始めた。




(そういえば自己紹介がまだだったな、私はルリウィン・ディザレア。


7罪当主、色欲を冠する。万物を魅了し、組み伏せ、堕としてきて今の地位についておる。


つまりだな、お主が今飲んだものは昇天必須の媚毒というわけよ。


既に訓練は始まっておる。死に慣れよ、ついでに毒に対しても耐性をつけておけ。


あぁ、楽しくなってきたなぁ?)




ぐるぐると回転が速まる世界に響く声をBGMにしつつ、


回転に耐えきれなくなった脳がブチっと嫌な音を立てて急に電源を切られた画面のように彼女は絶命した。






彼女の身体はまた、崩れ去り、魂だけの状態になり、輝きを強め、再生を始める。




(さて、魂再こんさいを手伝ってやろうかの。


自身でこれが行えるよう、この感覚をしっかりと学べよ)




ルリウィンは魂を優しい炎で包み込み、魂再で生じる激痛を中和する。


徐々に彼女が再生されていき、激しく息を荒げ、汗まみれな彼女が再生した。




(どうだったかの?耐え難いほどの苦しみではなかっただろう?)




(ハアハアハア・・・全力疾走で無理やり走り続けさせられたような疲労感と


全身の痛みでしたが?)




(そらあ、補助したのは最低限だけだ。強い動機こそが己を強くたらしめるだろう?


ほれ、この炎を感じ、自身で施せるようにせい。魂再こんさい中の発動はさらに難易度が高いぞ?)




(スパルタ過ぎんか・・・?)




母親がわざと微弱に顕現させ、彼女に癒しを与えている炎を見て、感じて。


魔力の変質方法を学び取る。




(これ、燃費悪すぎない?今見よう見まねで自身にかけてみてるけど全然楽になんないんだけど?)




(ほう、すでに魔力を変換できるか。まあ、効果が薄いのは最初はそんなもんだろう。


練度が足りぬのよ。っと、そろそろ魔力が切れそうだな。


このまま、魔力を与えて続きをやってもいいが、今日は初日故。


これぐらいにしといてやろう。色々心の内を整理しておけ、明日からは本格的にしごくぞ)




ルリウィンは癒しの炎の出力を大きくあげ、彼女を包み込み。


痛みを消し去り、眠りにいざなった。




(いや、ちょ、むりだって・・・zzzz)




「(ふう、面白い子がうまれたものだ。7罪当主の座を脅かす存在になるかもしれぬ。


ああ、当分の予定はキャンセルしておけ、憤怒のやつも呼び寄せろ。


長い期間予定は入れるなとも伝えておけ、住み込みだとな。)」




「(分かりました。うふふふ、将来有望ですね、いつからッていいですか?)」




「(後で皆を集めて説明するが、成長次第だな。


もしかしたら今までの子より早めに解禁した方がためになりそうだ。


しかし、その代わり私が宣言するまでは一切の暴力行為を禁止とする。)」




「(一切ですか?赤子によくしてあげるナイフ遊びなんかも?)」




「(なしだ。とりあえずはこの子の身体を清めてやり、寝かせておけ。


その後この子の教育方針について館一帯に伝える。その時に理由も説明しよう。


一同を食後に召集しておけ)」




「(かしこまりました)」




メイドはルリウィンから彼女を受け取り、部屋を後にした。風の魔法を利用した伝令を飛ばしつつ、赤子を水球に突っ込んで洗いつつ、赤子の寝室に向かった。






彼女が眠りについている頃、当主の食事会場では当主のルリウィンと


呼び出された7罪当主の憤怒が食事を行っていた。




「んで?なんで私は急に呼び出されたわけ?


あの子の件についてって言われたから応じたけど、お宅の料理は相変わらず美味しいわね。精の付く食べ物が必ず入っている点は相変わらずといったところだけど」




「ふふふ、この料理を作った料理人も喜ぶだろう。話についてはまあ、まて、食後のワインでもとりながらゆっくり話そうではないか」

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