Day24 朝凪
そんなこと考えてたら、どんな仕事してるかなんて探るようなことがポロリと出てしまった。端から後悔するのに口から出てしまったものはどうにもできない。
「なんもしてないなぁ」
男ののん気な声。なんでもないみたいに言われると、自分は貶めるふうに考えてたんだと気づく。本当に嫌になるな。
「ブラブラしとるよ。ここきたり、あんたんち行ったり、海を見たり」
「海って岬のとこ? 友達がさー、なんかおっかないのくるって言ってたんだ」
「ぼーと眺めとるだけよ。なんも怖いことない。朝凪の海をな、陽が高くなるまでぼーっとな」
穏やかな笑みを浮かべる横顔は、自分からすごく遠いところにある気がした。親しみを感じてたのが恥ずかしい。汗をかいているグラスに視線を戻す。ぷちぷちと昇っては消える炭酸の刺激を口に含んで飲み込んだ。
「行くか?」
え?
「行く行くー。お弁当持ってみんなで行こうよ。マスターも一緒にさー」
「私は遠慮します」
「付き合い悪いなーもう。じゃあ三人でいこう! 友達も紹介するよ。そしたらおっかなくないってわかるもんね」
あっという間に3人で出かけることになってる。動揺して男とカニを交互に見たら、カニはマスターにお弁当ねだってるし、男はいつもと変わらずソーダ水をさっさと飲み切って笑ってた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます