Day14 さやかな

「主が届け物の礼にと貴方につけた守護です。三度と決まっておりますので、あと二度です。お気をつけてお過ごしください」

 そう言って、とてもさやかな笑顔を浮かべた白着物はひゅっと消え、やっこさんが残った。動揺する俺の肩の定位置に戻ってふよふよ浮いてる。

 えっえー!? やっこさん!? そうなの? なになんなの。あと二度って。恒久的なお守りもらえるほどのことしてないけど、二度で終わりって言われるとなんかもうさぁ。そんな素敵な笑顔でさぁ。ありがたいはずなのにショックなんだけど。

 愚痴を胸のうちで呟き、あーとため息を吐いたら周りが目に入った。あの男と錬金術師が仲良く並んでこっちを見てる。

「行こうか」

 あの男が笑って言う。たぶんまた喫茶店だ。攻撃してきた錬金術師と一緒に?

「こいつの相手でくたびれたろう?」

 ホント、くたびれた。

「一休みしよう、なぁ?」

 そうだなぁ。疲れたし。

 男は今日も着流しに草履だ。錬金術師もハーフパンツに草履。スニーカーより涼しそう。俺も草履にしようかななんて考えながら二人のあとをついていった。

 なんとなく歩いてたらなんとなしに着いて、店に入った男に続こうとしたら後ろから声をかけられた。

「やっほー、また会ったね。ちょっと運んでくんない?」

 振り向けば、カニ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る