Day7 ラブレター
二度寝して昼近くに起きた。怠い体を引き摺って水で顔を洗う。冷たい水が気持ちよくて、起きたらすでに暑いって嫌だなぁと思った。
何回か作って捨てた製氷機の氷をコップに入れてから水道水を汲んで飲む。ぬるいとこと冷たいとこが入り混じるものを飲み干した。コップを置いた流し台は掃除済み。作業台も。冷蔵庫も。残ったそれ以外を考えてため息が出る。山のような食器類は紐でくくってゴミ処理業者に頼まないとと思ってるけど、手を付ける気になれない。そのかわり庭へ出た。水やりは、たいしてなにかしたわけでもないのに、なにかした気になれる。水を撒くと緑の葉が重なる影が目についた。なにもない。あのおかしなものなんて。
ぼんやりしてたらコンと音がして足元になにかが落ちていた。鳥? 水を止めて拾う。白っぽい石のようなもの。
『なあおい』
ビクッとして見回す。誰もなにもない。影は影のまま。
『やまの社に届けてくれ』
え? と思う。なんで俺が。嫌だと思うのに手に持った石を投げ捨てることができない。だいたいなんだよこれ。
『恋文だ。きっと待ってるから。たのむ、動けんのだ』
動けないのか。ラブレター待ってる人がいる? 恋人なら、待ってたら、そりゃほしいだろうけど。
『届けてくれたなら望みをかなえるぞ』
すごくあやしい。それなのに心惹かれた。望み、俺の。
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