第7話: 中学生の頃に見た夢

あくまでも私の個人的な感想になるのかもしれないが、昨日見た夢の話をしようと思う。

心と体が疲れている日にたまに見る夢の話だ。


そこはビジネスホテルの、少し広めの部屋のような場所だった。

私はベッドらしきところで横たわっていた。暗さは常夜灯程度、音は無音。壁は真っ白で、絵も飾られていなければ観葉植物もない。テレビも時計もなく、ただただ無機質な空間だった。


起きて椅子に座ると、お腹が空いていることに気づいた。すると、自然とご飯が出てきた。

それはビジネスホテルのレストランのような、ごく普通の食事だった。

時刻はわからないので、これが朝食なのか昼食なのか夕食なのか、あるいは夜食なのかはわからない。

ただ、自分のお腹が空いていた具合にぴったりの食事だった。のどが渇いたと思ったら、温かいお茶が出てきて、それがとても美味しかったのを覚えている。


食事を終えると、再びベッドに戻った。そのベッドは高さ、サイズ、硬さ、形状を変えていった。私の思い通りにベッドメイキングしてくれた。

天井の高さまで変わった。眠るのに絶妙な閉塞感で、まるでカプセルホテルのようだった。


私は夢の中で眠りに落ちる感覚を感じた。

実際に眠ったわけではないが、ゆっくりと夢の中に引き込まれていくような、そんな感覚だった。


夢の中の時間はわからないが、それはとても長く感じられ、しかも退屈ではなかった。

手持ち無沙汰でもなく、何かをしたいという感覚もなく、怠惰だとも感じなかった。ただただ心地よかったのだ。


この夢の中では、音もなければ色もなかった。そして何より、人間が出てこなかった。

私は言語面の発達障害を持ち、多くのものを処理したがる過敏症であり、対人恐怖症でもある。

まさに、そこは理想の世界だった。


中学生の頃、私は象牙の塔の中で一人で暮らしたいという夢を持っていた。

いじめられていたこともあったが、発達障害があり、一人でいるのが楽だったからだ。

昨日の夢は、私にとって理想の世界を脳内に描いた夢だったのだ。


そんな眠りからもいつかは覚める。何かが夢の中で私を起こしに来た。それは男性のようだったが、人かどうかは判別できなかった。

懐かしい匂い、いや、臭さと言うべきかもしれない。その男性は私の頬をペチペチと叩き、そこで私は目を覚ました。


目覚めると、私はいつもの朝のルーティンに入る。

まずはペットのフクロモモンガのケージを開けて、朝の散歩に出すことだ。スマホのカメラを構え、ケージを開けて、素早くフクロモモンガ達が散歩に出るところを写真に撮る。

そしてその写真をSNSにアップロードしながら、コーヒーメーカーで朝の一杯を淹れる。


少なくとも今は、心も体も疲れていない。

淹れたてのコーヒーを飲みながら、「またフクロモモンガ達に振り回される朝が始まったな」と考えつつ、今日の作業に取りかかるのだ。

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