第6話 選択と集中
とりあえずレベルが一つ上がったが、これじゃポイントが足りない。
三つのスキルを確認するためには少なくとも3ポイント、魔法基礎から四本の枝が伸び日ているのでさらに3ポイント必要になる。残りの二つのスキルは一本枝で伸びていっているので、とりあえず6ポイント分、レベル7までは上げる必要がある。
鳥たちがかわるがわるグミを持ってきて、俺はそれにナイフを刺していく。
グミを何個かさばいてみてわかったのだが、こいつらの中にある汁の色が外に透けて本体の色になっている。香りもそれぞれ異なるフルーツのようだが、混ぜてタライの中に入れている。喧嘩せず心地いいにおいになっている。
何匹のグミをさばいたかわからないが、グミ山を半分ほど崩したところで限界が来た。
「もうムリ。でもたのしかった。」
「悪い悪い、調子に乗ってしまったな。おまえら、あとは俺がやるから少し待ってくれ。」
鳥たちはそれぞれ返事をしている。
タカたち一度もグミの皮を食べに来ていないが、これに合わせて三羽とも近づいてきた。
『なら、レベルを確認しよう。さっさとスキルをレベルアップさせないとな。』
「ちょっと、まって。」
『俺たちはグミなんて食わんからな。ずっとスキルのレベルアップを待ってたんだぞ。ちょっとでいいから見てくれ。』
先っちょだけみたいに言いうな。
「はしゃぐなよ。明日の狩りでは自由にできるようにするから」
仕方ないかといった感じで一鳴きするが、そわそわしている。
スキルの影響で変化したブレイブはわかるが、ほかのタカは普通の高田と思っていたが、スキルを理解するだけの高さがあるのだろうか?
というか、ただの鳥がスキルで進化するってどういうことだ。ゲーム感覚で流していたが、かなりおかしいぞ。少なくとも人と会話できるだけの存在に進化しているのだ。それに頭脳以外の部分についてはどうなっている。スキルを理解しているということは特別な色の三羽はスキルが使えるのか?
何もできない分下手に頭が回ってしまったが、結構重要なことに気付いたと思う。
◆◆◆
十分ほど大の字になって休んだら疲労感はなくなったので、ステータスを確認してみる。これが回復力20越えのおかげなのかもしれない。
「ステータスチェック」
レベルは9、基本的な能力は4~6程度、回復力は30になっていた。
「十分なポイントはたまってるようだな。順番にスキルをレベルアップさせてみるか。」
「わかった。」
ステータスの表示されたウィンドウの右上を触って閉じる。特に×印のアイコンがあるわけではないが、自然とそうすると閉じる。スキルツリー同じで何もないが三つの円を囲むようにウィンドウを意識して右上の何もないところを触ると消えるてしまう。
まずは魔法関連のスキルツリーを表示させて、四方に伸びる枝の根本からスキルを解放していく。右傾周りに上から【衝撃魔法・打撃】、【風魔法・上昇気流】、【回復魔法・癒しの手】、【木魔法・芽吹き】が使えるようになった。
『衝撃魔法は聞いたことはないが、あとは一般的な魔法スキルのようだな。どれも便利層でいいが、竜に届きそうなのは【風魔法】か未知の【衝撃魔法】といったところだろう。』
ジョニーの肩から覗いていたウィズダムが口をはさむ。タカたちはは地面に降りて覗いていたが特に口は挟まずじっと見ていた。
未知の魔法か。前世のゲームとかでも確かに聞いたことはない種類の魔法だ。衝撃魔法ということはおそらく何の属性もない純粋な力を相手にぶつけるだけなんだろうと思う。一般的なゲームだと属性による有利不利があるが、無属性であればそれはない。最初に成長させるスキルツリーとしては一番都合がいい。これと回復魔法を成長させればソロでも戦いそうなイメージがある。
次は【粘液精製】のスキルだ。こいつはどんなスキルに派生するかの見当がまるでない分厄介だ。とりあえず次のスキルを解放して能力を見るしかない。
【粘度調整】
粘液関連のスキルがさらに追加された。これは精製する粘液の粘度を自由に変えられるということだが、これでは余計にわからない。
「うーん、これじゃ何のスキルかわからないな。あと三つ四つ解放してみないとわからんタイプだな。」
この先のスキルツリーが二股に分かれているが、これ以上ポイントを使うともう一個のスキルが解明できない。それにこのスキルはおそらく後半に伸びるタイプだろうから、本当に有用であっても最初に伸ばすべきスキルではない。それより最後のスキルツリーを解放するしかない。このスキル【よく音の出るビンタ】は根元から三又に分かれている。魔法スキルとしがって三方に伸びているわけではないので同系統ではあるのだろう。まずは右のスキルを解放してみる。
【◎ビンタの衝撃範囲拡大・小】
「パッシブスキルか。それにしてもまたこれだけではよくわからないスキルが来たな。」
”◎”はパッシブスキルのマークということか。しかしビンタのダメージ範囲が広がったところで何の意味があるのかわからん。しかもその分威力が分散されて弱まるようだ。音がでかくて威力がない。だが、これでこのスキルがパワハラ上司のスキルではないことが想像できる。だが、同時に指揮官スキル出ないことも容易に想像ができる。
『これもこのままじゃわからないな。あと2ポイント余っている分をどう使うかだな。』
ウィズダム、それは俺もわかっている。
せっかく三又に分かれていて残り二つが未開放なのだ。開ければヒントが増えてわかる間もしれない。だが【衝撃魔法】にポイントを使えればあと二つもスキルを獲得できる。
しかし、判断がつかない状況での選択と集中は愚の極み。魔法系スキルはすぐに役立つが、残りのスキルは有用性の判断にしばらく時間がかかる。即効性の高い研究と基礎研究どちらに予算を突っ込むかという問題だ。意味がないとわかっていれば、スキルを解放しないで済む。
待てよ、意味がないスキルなどあるのか?
仮にもこの世界の元となったゲームでネームドのキャラで主人公のライバルポジションが約束されているキャラのスキルが無用の長物なわけがない。おそらく魔法スキルが四系統に分かれていて異常なのだ。攻撃も回復も十分な性能を魔法スキルだけで構成できている。これはおかしい。残りのスキルは有用ではあるが先頭には関係ないスキル。またはライバルとしての映えるためのスキルではないのか?
そうなると今あげるのはやめておくべきだ。まずは【打撃】の性能を確認する必要はあるが、【衝撃魔法】と【回復魔法】を中心にレベルを上げればレベルアップしてポイントを稼ぎやすくなるはずだ。
「どうした、考え込んで。」
「ちょっとまって、いっかい【打撃】をつかってみたい。」
「まあ、いいか。さすがにグミに打ち込むのは良くないから。的を用意するから待ってろ。」
そういうとジョニーはどっかに言ってしまった。
ブレイブたちがいるので問題はないという感じだろうか。
『ベイブ、お前のスキルは面白いな。見たことないスキルばかりだ。その分期待していいぞ。アーサーも竜をしとめるようなスキルは聞いたことがない非凡なスキルだった。もとはただの【剣術】から派生して、竜の首を落とすほどのスキルになったのだ。最初から聞いたことないスキルであれば十分可能性が高いぞ。』
「ありがとう。」
『嘘じゃないぞ、慰める気などない。とても楽しみだ。』
わかってる。クラブで軽くリズムに乗ってるように楽しそうに体が動いてるのを見ているので、単純に好奇心で言っていることは理解している。
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