05_お食事と咀嚼音

//SE ブースの扉を閉める音

(店員が食事を運んでくる)



「先輩、お食事が届きましたよ」


「思ったよりも本格的でびっくりです!」


「先輩はラーメンですね! 私はカレーを頼んじゃいました」


「え~、だってこういうところのカレーって美味しそうじゃないですか!」


「それじゃいただきまーす!」



//SE 食器の音

(食事をしている音)



「もぐもぐ、美味しいです」



※咀嚼音と食器の音がしばらく続く



「先輩、ラーメンは美味しいですか?」


「……」


「……」


「べ、別に先輩のが欲しいわけじゃないですよ」


「それだと私が食いしん坊みたいじゃないですかっ」


「も、もう……」


「うっ、じゃあお言葉に甘えていただきます」



//SE 食器の音

(お互いの食事を交換する)



「ふふっ、恋人同士だと何でもシェアできて楽しいですね」//嬉しそうに



//SE 麺をすする音



「……」


「……」


「先輩……」


「麺をすする音が響くように感じちゃうんですけど……」


「やだなぁ、この音……」


「普段ならあんまり気にならないのに」


「漫画喫茶で麺類は食べるの難しいかもです……」



//SE ひかえめに麺をすする音

   ひかえめにスープをすする音



「漫画喫茶の食事ってより一層美味しく感じちゃいますね」


「それに秘密基地でご飯食べているみたいでワクワクしちゃいます」


「あははは、これ以上食べると止まらなくなっちゃいます」


「はい、交換ありがとうございます!」



//SE 食器の音

(再びお互いの食事を交換する)



「先輩、カレーはどうでした?」


「ですよね、甘口で美味しいですよね」


「……先輩、あーんしてあげましょうか?」


「いいじゃないですか、ここには私たちしかいないんですから」


「はい、あーん」



//SE 食器の音と咀嚼音



「美味しいですか?」


「……」


「そ、そういえば普通に間接キスしちゃいましたね」


「まぁ、私は全然気にしないんですけどね」


「だ、だって、妹ちゃんにはそういうこと気にしないんですよね……?」


「……」


「……」


「……嘘です。ちょっとは気にして欲しいなぁ……なんて」


「そ、そうですね。早く食べないと冷めちゃいますね」



//SE 食器の音と咀嚼音


※しばらく咀嚼音と食器の音が続く



「ふぅ、食べた。食べた」


「お腹いっぱいになっちゃいました」


「やだなぁ、食べ過ぎてお腹ぽっこりしてるかも」



//SE 衣擦れの音

(彼女が自分のお腹をさすっている)



「……」


「むっ」//声が遠のく



//SE 衣擦れの音

(彼女が少し離れる)



「な、なんで離れるかって?」


「だって、くっついてたらお腹が出てるのがバレちゃうじゃないですか……」



//SE 衣擦れの音

(彼女に近づく)



「あははは~、近づかないでくださいよ~」//声が近づく


「そんなことされたらもっとくっつきたくなるじゃないですか~」



//SE 衣擦れの音(激しめ)



「……先輩、ぎゅーしてください」



//SE 彼女を抱きしめる音



「こんなところでこんなことしちゃダメですよね」//耳元で囁くように


「分かってます。すぐ離れますから」


「でも、もうちょっとこのままで――」



//SE 強く抱きしめる音

   


「……私って本当に悪い子ですよね」


「妹ちゃんには内緒にするし、今のこの状況もすごく楽しんじゃってます」


「私と妹ちゃんって全然違いますよね……。妹ちゃんは明るくて元気いっぱいなのに私は狭くて暗いところが大好きで……」


「もう少し私に勇気が出るまで待っててくださいね……」


「そうしたら、今度は堂々とデートしたいです」

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