04_パソコンとカタカタ音

//SE 衣擦れの音



「……先輩、目の前のパソコンって使ってもいいんですよね?」


「へぇ~、じゃあちょっと使ってみようかなぁ」



//SE キーボードとマウスのクリック音

(パソコンのカタカタ音)



「お食事もパソコンで頼めるんですね」


「うぅ、美味しそう……」


「お腹すいてきちゃいました」


「こんなに静かなのにお腹なりそうかも……」



//SE キーボードの音とマウスのクリック音

(パソコンのカタカタ音)



「うーん、ここのページじゃないなぁ」


「先輩、一緒に見ませんか?」


「いいじゃないですか。こんな風に一緒にパソコン見る機会ってないので」


「それに私、先輩と一緒に見たいサイトがあるんです」



//SE キーボードの音とマウスのクリック音

(パソコンのカタカタ音)



「ディスクトップにゲームがありますね」


「へぇ~、無料でゲームもできるんだ」


「えへへ、ちょっとやってみたいかも」



//SE マウスのクリック音

   


「無料動画……?」


「色んな動画配信サイトあるんですね」


「私、有名なところしか知りませんでした」



//SE マウスのクリック音



「あーるじゅうはち……?」


「……」


「なんですかこれ?」



//SE マウスのクリック音(一回)



「わっ、わっ!」


「早くバッテン押さないと!」


「ち、違いますよっ!」//焦る


「先輩と一緒に見たいのってこのサイトのことじゃないですからね!」


「そもそもこんなものをこんなところで……!」


「お、音だって……」


「えっ? ヘッドホンがある……?」


「……」//息を飲む音


「先輩、絶対に見ちゃダメですからね!」


「そんなこと分かってる?」


「……」


「もー! 私のことからかったんですね!」


「私、あんまりこういうのは得意じゃないのでやめてください!」


「そ、それにしても漫画喫茶のパソコンってこういうのも入ってるんですね……」


「漫画喫茶のパソコンって危険です……」



//SE キーボードの音とマウスのクリック音

(パソコンのカタカタ音)



「先輩、私が見たかったのはここです」


「はい、おすすめのデートスポットのサイトです」


「実はスマホでも調べたりはしているのですが、私たちってまだ秘密の関係なので……」


「こういうサイト見て、先輩とデートに行く妄想したりしちゃってます」


「ねぇ、先輩はどこに行ってみたいですか?」



//SE 手を握る音

(彼女が手を握ってくる)



「あっ、いいですね。海辺でお散歩もいいですよね。ちょっと遠いですが」//笑いながら


「あっ、これとかはどうですか?」



//SE マウスのクリック音



「美術館デートって憧れちゃうなぁ」


「えへへへ、私って妹ちゃんと違って運動は全然ダメなのでこういう落ち着いたデートがしたいです」



//SE マウスのクリック音



「で、デートの帰りにこういうお洒落な喫茶店も行きたいです」


「ここのパンケーキ、美味しそうじゃないですか?」


「先輩も甘いもの好きですよね?」


「良かった。昔、バレンタインのチョコをあげたときは喜んでくれましたもんね」


「今だから言えますが、私のチョコはずっと本命でしたからね」


「あっ、後はですね! 私、ここにも行ってみたいです」



//SE マウスのクリック音



「ここのラーメン屋さん有名みたいですよ」


「近場のラーメン屋さんなので一緒に行ったら誰かに見られちゃいそうですが……」



//SE お腹の音



「げふん! げふん!」//お腹の音を誤魔化すように咳き込む


「……」


「……」


「……き、聞こえました?」


「な、なにか、お食事でも頼みませんか?」


「あっ、先輩が笑ってるぅ……」//恥ずかしそうに

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る