03_コミック読みと密着

//SE 紙をめくる音

(二人で漫画を読んでいる)



「……」


「ふぅ……」



//SE 紙をめくる音


(しばらく紙をめくる音と彼女の息遣いがだけが続く)



「すぅ……」



//SE 紙をめくる音



「ふぅ……」


「……」


「んー……?」



//SE 紙をめくる音



「んぅー……」



//SE コップを持つ音

   ストローでジュースを飲む音



「せーんぱい、ジュース飲むの忘れてますよ」//耳元で囁くように


「私が飲ませてあげますか?」


「はいはい、ちゃんと口開けてくださいね」



//SE ジュースをストローですする音



「よく考えたら同じジュースにしなくても良かったですね」


「だってお互いの飲み合いっこすればいいじゃないですか」


「……」


「か、間接キスになっちゃいますが……」


「えっ? 妹ちゃんにはそんなこと気にしてない?」


「もう、そういうこと言うのはデリカシーないですよ」


「私は妹じゃなくて、先輩の彼女なんですからね」


「……あっ、先輩。今読んでいる漫画終わったらこっちに回してくださいね」



//SE 紙をめくる音



「すぅー……」


「ふぅ」



//SE 紙をめくる音


(規則的な呼吸音と本を読んでいる音がしばらく続く)



//SE ジュースをストローですする音



「うーん、先輩、ちょっと寒くないですか?」


「空調が効きすぎているっていうか……」


「もうちょっとくっつていもいいですか?」//甘えるように



//SE 衣擦れの音

(彼女が更に密着してくる)



「あはは、先輩あったかい」


「あれれー? 先輩、顔がちょっと赤くなっているような」



(顔を覗かれる)



「そういう顔、絶対に妹ちゃんの前ではしないですよね」


「そういう先輩の顔もっともっと見たいです」


「えっ? 当たってる?」


「な、なにがですか?」


「む、胸って……! そんなにはっきり言わないで下さいよ!」


「……」


「……」


「先輩……」



(何か言いたそうな間が続く)



「……」


「……」


「じゅ、ジュースのおかわり持ってきますね」


「中身は私にお任せでいいですか?」


「――はい! 分かりました」



//SE ブースの扉が開く音

   衣擦れの音(彼女がブースから出ていく)



//SE しばらく店内の雑音が続く



「先輩、ただいまです」



//SE ブースの扉を開く音



「今度はカルピスとコーラを持ってきちゃいました」


「さっき言ってた通り飲み合いっこしましょうね」


「後はこんなのも見つけちゃいましたっ」



//SE ブランケットを広げる音

   


「ジュース持っていたので、脇で抱えてくるの大変でした」//笑いながら


「漫画喫茶ってブランケットの貸し出しもしてるんですね」


「他にも携帯の充電器や枕も貸し出ししてましたよ」


「こんなに揃っているとずっとここにいられちゃいますね」


「……えっ? 枕じゃない? ひじ置き?」


「ま、まぁ、どっちでもいいじゃないですか」//恥ずかしそうに


「よいしょっと」



//SE 衣擦れの音


(ブランケットを二人で使う。声が近づき、息遣いを感じるくらいの距離感に)



「ブランケットもシェアしましょう」


「いいじゃないですか、だってここはシートなんですから」


「あのぅ……貧相なものですが、私は当たってても気にしないので……」


「そ、それに先輩になら触っていただいても――」


「な、なんでもないです!」


「わ、私も恥ずかしいですが、やっとカップルらしいことができているので我慢してくださいね!」


「あっ、なんなら漫画も一緒に見ちゃいますか?」


「先輩は右側持ってください。私は左側持ちますので」



//SE 紙をめくる音

   (二人で同じ漫画を読んでいる)



「むぅ……」


「先輩ぃ……」


「読むの早いぃ……」


「読みづらい?」


「だって、先輩と同じことしたいんですもん」

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