第15話運動会が好きなだけ。

杏ちゃんは含む所がある様に歯に衣着せぬ物言いで言う。


「ちょっと、それどう言う意味よ。私そんなにいつも目立ったり、威張ったりしてる。杏ちゃんあんたには言われたく無いわよ。もう〜」


水葉は文句を言った。


「ハハハハハハハッ」


杏ちゃんは笑った。


「強ち間違ってはいないかも運動会の時の水葉ちゃんの頑張りも新葉君の応援も凄かったもんね。新葉君なんて人一倍声が出てたもんね」


結衣ちゃんが言った。


「そう言われて見れば確かに仕舞いには新葉君の声しか聞こえなくなっていた気がする。特別大きな声って言う訳じゃ無いのに何かこう誘導されちゃうって感じ」


咲良ちゃんも言った。


「確かにそう言えばそうだったよな」


皆が口々に言い出した。


「もう、恥ずかしいからやめて。僕はただ運動会が好きなだけだよ。運動会になると力が入っちゃうって言うか。夢中になっちゃうだけだよ。だからと言って凄く活躍が出来る程運動神経が良いわけじゃ無い。ただ運動会が好きなだけだよ」


新葉は訴えた。


「まあまあまあ。新葉君。所でそんなに運動会が好きなら、負けちゃって悔しいだろ?」


健慎君が聞いて来た。


「負けて悔しいとかより、活気が感じられないのが嫌だったかな?」


新葉は言う。


「そうだよな。やる気が感じられなかったよな!」


颯真は間を割って入る。


「確かにこの学校はおかしい。怪しい。六年生もそうだった。何かこう、呑み込まれているって言うか、長い物に巻かれろ見たいな。兎に角変だ」


陽斗も言った。


「生徒達だけじゃ無い。先生も変だ。担任もどうかしてる。最初はヘラヘラと良い先生だと思わせて後で、コロッと騙す!」


健慎君も言った。


「ちょっと。大岩心護おおいわしんご先生はそんな先生じゃ無いって言ったでしょ。何かあったんだわ。そうに決まってる」


怒って、咲良ちゃんは否定した。


「まだ、分かんないのか。あんな先生の事で傷付くなよ。オレはお前が心配なんだ。何で分かってくれねんだよ」


健慎君が言う。


「違うもん。違うもん。違うもん」


咲良ちゃんは泣きそうに否定した。

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