第6話樹君の心の内。
H組では普通に日常を送っていた。ただ、樹君だけは少し、違う様だ。嫌、これが本来の普通なのか?
「ヒー。こっちに来るなーよー」
樹君が新葉を盾に逃げ回る。
「あんたねー。いつも新葉君を盾にして逃げるのやめなさいよね。ボコッ。ドガッ」
紬ちゃんもいつもの様に樹君とやり合っている。勝ち誇った様にいつもの様に紬ちゃんは去って行った。新葉は樹君に手を差し出して立ち上がらせた。新葉は樹君の服の汚れを落とすと、
「樹君。もう。陽太君にちょっかい出したり、意地悪したりするのは止めるんだ。結局こうして紬ちゃんにやられちゃうんだから意味無いじゃん。どうして、陽太君に手を出そうとするの」
新葉は優しく諭す。
「あいつはちょっとばかり顔が良いからって、鼻に掛けてるから気にくわ無いんだ!」
樹君は言った。
「鼻に掛けてるとか考え過ぎじゃ無いかい。僕はそう思わないけど!」
新葉は言った。
「違うよ。新葉君。例えば大地君。大地君は顔が良い。女の子も集まって来る。そこまではあいつと同じだ。けど、大地君は一途な子だ。チャラチャラしているあいつとは違う。それに大地君は新葉君の大切な友達だ。あんなチャラチャラしてる奴に女の子が騙されたらどうする。誰かが守ってやらないといけないんだ!」
樹君が理由を話した。新葉はそれを黙って聞いていた。
「ハハハハハハッ。やっぱり、樹君は考え過ぎだよ。それとも騙されたら嫌な女の子がいるの?」
新葉は聞いて見た。樹君は目を泳がせる。心春ちゃんと目が合う。戸惑う樹君。目を逸らす心春ちゃん。慌てて樹君は前を向き直す。
「あー。もう分かった。分かった。手ェ出さねーよ。だから、それ以上言わないでくれ」
樹君は観念したのか、手ェ出さないと言ったのだ。新葉はこの言葉を信じたいと思った。
「もう一つ、聞いて見たかったんだけど、樹君はどうして僕と仲良くしてくれてるの。最初は全然だったと思うんだけど……………」
新葉は序に聞きたかった事を聞いて見た。
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