Day10 散った
隣町の廃寺が爆発四散したと聞き、僕は神速で犯人を特定する。
あー、はいはい
というより、なんだかワンパターンが過ぎませんかね?
ちょっと飽きちゃいましたぞ。
と思いながらコーヒー片手にニュースを視ていたら、意外や意外、犯人は弔路谷ではなかった。
なんと一般人。
しかも、写真の写りが厳つい、どう足掻いても堅気には見えない三人の男だった。
ニュースキャスターが読み上げる原稿によると、男たちは廃寺を占拠した挙げ句、違法薬物の製造という極めて罰当たりな所業を行っていたらしい。
どうして廃寺を占拠できるんだ? と思ったが、どうやら寺が廃れる前、住職は男たちから多額の借金をしていたようだ。
それで何やかんやがあって寺が廃れ、元住職は妻と共に隣町を去ってしまう。
借金のかただったのか、男たちは廃寺の占拠に成功。その後、見た目はそのまま、中身を違法薬物製造工場に改造した。
今回の事件は、製造過程で発生したミスによるものであると、ニュースキャスターは淡々とした口調で言う。
化学のプロだって細心の注意を払わなければ、致命的な事故を引き起こすのだ。ずぶの素人ならば尚更。爆発四散するリスクは青天井に違いない。
つまり、罰が当たったと言うよりは自業自得だろう。
一気に関心の波が引いた僕は、チャンネルを変えるべくリモコンへ手を伸ばす。
その時、テレビ画面がスタジオから爆発四散現場へ切り替わる。
中継まで出して……暑い中、ご苦労様です。と心の中で労い、そして気付いてしまった。
規制線のコチラ側には、幾人もの報道関係者。
規制線のアチラ側には、幾人もの警察関係者。
と、弔路谷怜。
何故、アチラ側に居るんだ。というか、やっぱりお前が関係しているのか。どう関係しているんだ。
どう、というより、どっち?
テレビに齧り付く僕を知ってか知らずか、弔路谷は自分を映しているカメラを発見する。
そして「ヤッホォ!」と叫んだかと思えば、星の彼方へ届く勢いで飛翔。そのまま画面から消えてしまった。
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