知性と智慧(Intelligence)
ちょっとしたことで「おお!」となる私のような人種にとっては、知見のないことに触れる度、おお! となるのではあるが、今回もそのような話だと、まず覚えておいてほしい。
その上で。
知性(intelligence)と智慧(wisdom)とは何が違うか、というのを、初めて知った(考えた)のは、D&Dというゲームのルールブックだった。
私の記憶が確かなら(とはいえ、私の記憶が確かだったことなど、ついぞあっただろうか?)、その違いを説明するのに、そのルールブックはこう説明していた。
傘というものがある。
傘とはどういう形状で、どういう時に使用するものか。そういう情報を知っていることがインテリジェンス。
雨が降ったら、傘を差せばいい。それを知って実践するのが、ウィズダム。
と、概ね、そういうような説明だったと記憶している。
そもそも。知性と智慧の違いなど考えたこともなければ、英語にもとんと疎かった私ではあったが、なぜかその説明に感銘を受けたことは覚えている。
友達の与太話だ。
Tが傍若無人(いや、むしろ天衣無縫か)だという流れの笑い話である。
T(中学時代のあだ名は大仏。大学に入ってからも身長が伸び、縦に伸びた彼はモテた。初体験が東京ドームのビール売りのバイトをしてて、誘われた同バイトの女子だったとかなんとか。自分でそう作文してたので、嘘ではないと思う)と、N(毎度、美味しいところだけさらってくので、私はトンビと呼んでいた。べつに理子の父親ではない)と、M(私と永遠の魂のDTを誓い合った魂の双子。ただし、久しぶりにあったら従来の人見知りが発動して、なんかよそよそしかった)の三人で、どこぞのファーストフード店に寄ったらしい。
「Tがさあ、なんか店員のケツを急に揉んでさあ」とM。
「そうそう、なんか触りやすい位置にあったから」とT。
絶対触ってない。のに、ノッてしまうT。そもそもなんでMがそんなことを言い始めたのかも謎だが、面白そうならノるのがTという男だった。
「いやあ、あれは凄かったね」とN。
手を猛禽類のような形で上に向けながら、朗らかな笑顔で言い、その形のまま手の甲を上へくるりと向けたかと思うなり、もう片方の手の指で、猛禽類の指の間を山なりの曲線を描きながら、
「つかんだ手の間から、こう、肉が盛り上がってたもんね……」
胡乱な上に説明下手の私のこの書き方で通じるかどうかははなはだ心許ないのだが、伝わったものとして話を進めさせていただく。
私は、
(あ、描写ってこういうことなんだ)
と本気で思ったのです。
よほど力を込めてケツを鷲掴みにしたところで、そこまで肉がはみ出るはずもなく、そもそもそんなことは絶対してないだろうと確信したし、実際してないのはわかった上で。
私には、手頃なところにあったからといった理由で店員のケツを鷲掴みし、そしてもりあがったであろう肉を生々しく幻視したのです。
まったくリアルではないが、リアリティのあるホラ話。
私は、もうそんなやりとりがあった20ン年前から、そんなリアリティを出したいな、と思いつつ、無意な時間を過ごしております。
ところでインテリジェンスの話だということをすっかり失念していました。
そんなことは現実的にありえない、というのがインテリジェンス。
俺も掴んだけど、そんなふうにはならない、というのがウィズダムだと思います。
どうでもいいわ、ぼけ〜( ´Д`)y━・~~
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