四文字言葉(Four letter word)

 よう、このドサンピン、玉無しの腑抜け野郎。いままでいい気になって散々やってくれたらしいが、手前もいい加減、年貢の納め時だな。自分は力があると思ってたんだろ? これだけ手下が慕ってくるのは手前に力があるからだと、そう思ってたんだろ?

 ンなわけあるかい、手前の存在が遣り口が都合よかったから集まっただけで、手前なんかどうでも良かったんだ。普通の頭がありゃあ気づくようなそんなことも、気づかねえでいい気になる、このド低脳の羽虫野郎が!

 手前なんぞはお母ちゃんのおっぱいでも吸って、自分が世界の王だみたいな顔して、そのまま幸せのうちに朽ち果てていけ。世界なんざ、なにがどうあろうと平和になんかなりゃしねえが、手前なんぞがしゃしゃり出て世直しだなんだやるよりは、前の方がナンボかマシだったってことになるんだからよ。

 おう、なんだ。その目は。何か言いたいことがあるなら言ってみろよ、この唐変木。どうせくそくだらない言い訳か、精々どこかで聞き齧ったような、愚にもつかない能書き垂れるだけだろうが。おまえは、おまえだけがおまえの言葉で語ってると、素朴に信じるおぼこい童貞野郎だよ!

 勝手にマスでもかいてろ、通りすがりの誰かがおひねりのひとつもくれるだろうからさ。

 お、どうした?

 そろそろ観念したか?

 手前なんぞは、花実も咲かせず、虫すらよりつかない、くそたわけの死骸になるのが関の山だ。後に続く者なんていないし、猫だって跨いでいくだろうさ。

 そんなお前に、とっておきの四文字言葉を捧げてやろう。

 YHVH。

 あの自分勝手で嫉妬深い、この世の悪の親玉みてえな奴の名を最期に送ってやる。

 どうせ皆、すぐに死ぬし、たかがしれたことしかできやしねえんだ。自分は違う、自分ならできるなんて、思い上がったことを胸に抱いたまま、天国へ行きやがれ。

 俺も、すぐあとをついていくさ。

 じゃあな、勇者よ。

 あの世でまた会おう。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る