トマト(お題:トマト)

 南米の野菜の、人類の食に与えた影響は大きい。じゃがいもは主食となった国も多いし、トマトのないイタリア料理など、いまでは考えられないだろう。

 アメリカ大陸発見の前には、世界中のみんなは一体何を食べてたんだろうと気になるぐらいだ。

 もっとも、そんなことを考えるのは、米が主食の国に生まれたからで、それから世界中の食べ物をごく普通の庶民が食べられる世界に生きているからなのだろう。

 ナス科の食物がなかったところで、寂しく感じることはあったとしても、食うものがない、とはならない日本の私。トマトは嫌いだ、特にナマのトマトなんて——という人も少なくないのでは?

 わたしの記憶が確かなら、トマトは最初、観賞用として日本に入ってきたはずだ。

 食べても食べなくてもいい。

 栄養価が高いとか、旨味成分が強いとかもどうでもいい。

 みんなの心の中にトマトはあって、そのそれぞれのトマトを愛でたり、あるいは否定したりすればいい。

「サラダの国のトマト姫」のことさえ、ちゃんと受け入れてくれるのなら——。

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