　氷の王子と呼ばれる掛川幸男が出てきたことでコートは沸いた。地方予選では温存されるだろう、出てくることはないだろうというのがもっぱらの噂だった。

　日本代表に選抜される選手というのは特別で、ましてやこんな田舎から、というので昼間から地方予選に駆けつけるような事情通は、みんな知っていることだった。

「しかし、あれだな、今年は豊作だな」

「ンだなあ、ウチみたいな田舎から、センバツ選手三人とか嘘みてえだ」

　公立のふたり、掛川と礼手（れて）、新興私立の、桶天（おけあ）と、今年は地元バレー好きを興奮させるしかない充実ぶりだった。

　高校野球はどこでもそれなりの盛り上がりを見せるが、その他のスポーツはそれほどでもない。バレー、バスケット、卓球……室内競技はいわんやおや。それでも土地によっては盛り上がる競技はあるのだ。

　えと、これどうやったらオチつきますかね？　なんかやたら明るいちみっこいの出して、幸男の王様トスと変人速攻とかかましたら、どうにかななります？

　それともUVERworldの曲でも流しながら、幸男の兄ちゃんが青い炎かなんか出して敵殲滅のほうがもりあがります？

　わからない。もう酔っ払っててなにもわからない。でも島本和彦も「三作のうちひとつ傑作できたらオッケー！」とか確かいってたんで、

　幸せならオッケーです！

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