飛ぶ夢を見たことがない(お題:飛ぶ)
生まれてこの方、空飛ぶ夢を一度も見たことがない。変身して怪人を倒す夢なら何度も見たことあるし、経験どころか興味もないケーキ職人になって働く夢だって見たことがあるというのに。
空さえ飛べれば、という瞬間は何度も夢で見、そのたびに苦渋の思いだった。
その日の朝はごく普通の会社員の夢で、満員電車にぎゅうぎゅう詰めにされて、こんな生活は絶対無理だな、と嘆いたところで目が覚めた。
アラームが鳴っている。
アラームに助けられるとは思ってもいなかったが、寝ぼけてもいられない。
俺はただちに家を出、満員電車に辟易しながらMAPが示す地点にたどり着いた。
逃げ惑う人々、落下する火球、自衛官らしき連中が空を見上げ、ほぞを噛む。
俺は変身して、空へと飛んだ。
「ゲ、スカイマン!」
翼竜のような怪人の断末魔の悲鳴を後ろに聞きながら、俺は面倒臭いので変身した姿のまま、飛んで家へと帰ったのだった。
満員電車なんて、もう絶対乗りたくない。
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