悪夢の遊園地
@R250
第1話
ここは、どこだ?
薄暗い廃工場のようだ。
いや違う遊園地だ。
自分の名前以外の記憶がない。
私の名はたしかシルビア
・アールト。
もっとも、記憶がなかった私はそれを他人事のように聞いたのだが。
「……お目覚めのようね」
闇の中から声だけが響いた。
シルビアは首だけを起こして周囲を見渡すが、声の主の姿はどこにも見えない。
「誰だ!? どこにいる!?」
近くのスピーカーから声がした。
「お前は死んだ。ここは死後の世界だ」
……まさか? いや、そんなバカな!
自分が死んだ覚えが無い……そんな、バカな!
「信じるもの信じぬもお前次第だ」
シルビアは驚愕に目を見開いた。
だが、すぐに納得し、そして納得した自分に驚いた。
「そうか……。私は死んだのか……」
シルビアは、自分が死亡したことに何の疑問も持たなかった。
むしろ、当然の事として受け入れていた。
闇の中から再び声だけが響く。
「ここから無事にでることができたら現実世界に帰れるぞ」
「そう……なのか?」
「そう無事にこの空間から出ることが出来たらだがな」
ガチャンと音がしてスピーカーからの音声が止まった。
意味がわからないが出口がどこかにあるはずだ。
シルビアは立ち上がりあたりを見渡した。
薄暗い周りには首の取れたメリーゴーランド、サビだらけのジェットコースターレールなどがある。
「不気味だ……何か手がかりはないか?」
メリーゴーランドに近づくシルビア。
突如不気味な音とともにメリーゴーランドが動き出した。
動き出して気づいたが1台だけ人が乗っている。
シルビアは目を凝らしてよく見た。
「なんだ……あれ……」
赤と黒の衣装を着たピエロが無表情で乗っている。
ピエロがシルビアに気づくと笑顔で手をあげた。
シルビアも安心して手を振ろうと思った時ある事に気づいた。
ピエロが手に持っていた血のついた大きなノコギリ。
「え⁉︎」
シルビアは声にならない声をあげ走った。
「何あれ……ノコギリ……なんで血……」
何処に行っていいかわからないがひたすら走った。
廃墟のようなレストランを見つけたシルビアはそこに入り机の下に隠れた。
悪夢の遊園地 @R250
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。悪夢の遊園地の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます