唾棄すべき不逞
「笑っている・・・とは」
親書もった勅使・・・じゃなかった、使者が笑い転げるとかないわ!
いや、前々世で終戦時シラスなんとかとかいうのがなんかやらかしたとかテレビで聞いたしセーフだセーフ!
「ひどく切迫した様子で自らの射殺を要請してました。・・・変態ではありますが腐っていてもインペリアルなセレブリティ、従容と自爆攻撃に赴くような女では無いので、確実に思い出し笑いかと。おそらくは直前の大尉の言葉が引き金になったものと推察します」
エンリカの評論。変態?!腐ってる?!?!まさかこの窮地に親友としての友情をここまで踏みにじってくれるとは・・・いや、こいつはこういう女だったわ(滂沱の涙
「司令の名を呼んで・・・それだけ、だな」
「私の名前が抱腹絶倒するほどおかしいのかね」
よし、もう耐えられる。
「具体的にはまるで判りませんが、おそらくは、なにか邪悪な諧謔でも思いついたのでは。なにしろ前世の設定を二つまでも創作するほどの精神世界をお持ちですので」
「今は泣いてんだよ!」
床をおもっくそ叩いて立ち上がる(てしっ、としか鳴らなかったが)。
「使者として赴きながら戦隊の最高権限者の目前で笑い転げるなど、このハマミ、痴恥極まる痛恨の失態。これを収めるに我が名と命をもってしても足りぬでしょうが、せめてもの慰みにどうかお受けくださいますよう」
パイロットスーツを脱ぐ。
インナーはちょっと言えない穴からのグリセリンの漏出を警戒しランジェリーのみ。
悪臭対策で香水はナポレオンが血と糞尿の只中で愛したと言われ(前々世ダンナ書斎整理中のギャ〇リーフ〇イクで見た)るなんかすごいやつ。
下着がおきにのロリータドレスリップでよかったわ・・・侍、じゃない、女たるもの、死に装束は白くあるべし!
「ちょっとハマミ、やめなさい!なに脱いでんのよ」
「もう錯乱した痴女として射殺されるしかねーだろ!」
チョーカーとリボン、
透けるちくびとぱんつを無視できれば、だが・・・
「あんたが脱いだって只の癇癪起こした子供でしょう、とりあえず連行されなさいってば」
「な、ななななんという恥辱!」
既知の間柄とはいえ今は敵陣営の、しかも使者でありながら奇行を続ける胡乱な存在であるあたしを排除も制圧もせずぼっ立ち状態の大尉をのけ、司令があたしの肩を掴む。
「殿下、今は正気ならばそれでよい。読まれよ」
「はぃ・・・」
こんななっても人間扱いしてくれるなんて・・・なんという大きな器の男。
ステキ・・・
感謝の涙目で受け取る。
お貴族様的な季節の修辞がつらつらと続き長い政治的な思い出話の後、あなたの健康をお祈りいたしますお健やかに、と〆、追伸でそういえば最近ウチから新型盗んだよね?かくまってる窃盗犯、脱走兵ごと返さないと犯人の家族を一人ずつ殺してゆきますからはよかえしてーなwwでもこの親書持ってったハマミ殺せば全部チャラでいーわよwwwwこの要求は先発リーゼ二小隊の撃滅確認をもって承諾と判断する、で終わっている。
・・・え?!あたし大佐に嫌われてる?!?!?
ま、いいや・・・痴漢プレイ断られたし。
・・・あの無礼者め、女にハジかかせおって!
「親書、拝読いたしました」
前々世の小学校の卒業証書受領かなんかでやったようにもたくたと両手でひっくりかえし、差し返す。
受け取ったブルーレット司令が、何かを問うようなまなざしで見つめてくる。
耳が熱くなる・・・
よし、とりあえず親愛と感謝の笑顔だろ!
眉間をひらき、下マブタと口元を緩く上げるようなイメージで司令に微笑みを返す。
司令の眉間にシワが寄る。
「この恥知らずな要求に、なぜそんな顔ができるのだ・・・これは脅迫だぞ!」
怒気。
えっ、また失敗?!なんだろう・・・ごめんなさい??
「はっ、申し訳ございません司令殿。ご不快は親書の内容でよろしかったでしょうか」
よろしかったでしょうかキマシタワーwwww現在の進行に過去完了形の誤用。
もう殺してくれマジで。
「それ以外に何があるのだ」
「はっ!使者としての無礼を置いていただき誠に恐悦至極であります、司令のおしゃられます通り、まごう事なき脅迫であります」
ああああああられる+の更にですます接続で敬用三段重複を華麗に完了!ハジの上塗り絶賛記録更新ちゅ☆!!!!!!!!
「邪知暴虐とは正にコレ、大佐バショクは悪逆非道、唾棄すべき不逞の輩であります!最早泣きながらでも斬るべき宇宙規模の根源的な悪の化・・」
司令の溜息に私の言葉は尽きたのであった・・・トホホ
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