Let's



宇宙検疫とは有害放射線やウィルスなどの分子ロボット、恣意的な論理回路を発生させるミニマムな電磁作用から映像音声電磁気を記録・発信する機械までを検出・排除・隔離する工程だ。





ロックアウトされた部屋に連れられ、エアを充填。



「ここでヘッドギアを除装ください。私たち四名が検疫を務めさせていただきます」



「あ、よろしく~」



素で返してしまった。


仕事中やぞ!キアイや気合!!



脱いだヘルメットを小脇に抱え・・・切れず、チンガードあたりを掴んでワキを空けハンドスキャナー検査を受ける。



凛々しい美女が正面に立ち、ガンづけしてきた。



「マリン二等曹です。兄は前大戦、公国軍特別攻撃隊に編入され任務に散りました」



「公女ハマミである。国破れ兵死にゆけども我は健在。役目を果たしたる兄をもつこと、永代の誉とせよ。・・・復讐の機会であるな。切腹の支度(*)尻穴は済ませておる。存分にし果たすがよい」



もう何も出んわマジで。


洗わずに鍋にできんじゃね。ルフィの奴め・・・



「お恨み骨髄に徹しておりました。が、今は兄を強く誇りに思います」



揃った靴音と共に四人が敬礼し、道を空けるとドアが開く。



か、かっこいいタル~~~~~



答礼し、四人と視線を合わせ、降ろす。



なんだ・・・なんだなんだ、この全世界が味方になったような異次元の感覚は。



おもむろに股を開いて「舐めろ」とでも言ってしまいそうな全能感が危険すぎる。




廊下に出ると、オフショルダー(首から肩にかけて開いてるやつ)のミニスカワンピに長靴といったドエロい制服(コレが制服か?!)を着たエンリカ脱走兵が敬礼していた。



「ご案内いたします」



「ご苦労」



踵を返し、進んでゆくエンリカ脱走兵のケツがやばい。


あたしの背だと、見える。


ケツを振る度にわずかにはだけ、チラリと輝いてしまっている。


視界のスミのヤマダ主任の目もガン見してる。



主任の亡霊を意識したところで、艦内クルーが通路の左右、其々に敬礼しているのに気づく。


部屋や枝道からわざわざ出てきて敬礼すんのもいる。



うわ、めんどくさ!



辟易としつつも答礼と視線を送り続ける。


右手がつらい・・・



(エンリカ・・・おっぱいは無事?)



(艦長に吸われてパイロット待遇の客将になってしまったわ)



(はー、あたしはルフィの浣腸地獄でガタガタのモレモレだっつーのに)


マジでおむつ履いてくるべきだったわ・・・


(あんたさ~もう世界の悲劇を背負う美少女やるんでしょ?ちゃんとキャラ被りなさいよ)



(なにそれ・・・ギルベ・・・クロード大尉もなんか言いかけてたけど、なんなの?)



エンリカが吹き出す。



(知らぬは本人ばかりなり・・・てこと?笑えるわね。ハメられてるわよ、前から後ろから)



ヒュエロの原稿か?・・でもあんなサイコオナニー与太でもギャグでもダニーが許さんだろ。



(困るなぁ・・・前はともかく、後ろは括約筋再生してもらわないと門番が立哨ないわ)



(まて!何者だ?!)



(おならです)



(よし、通れ!)



(ああああああ!!!!!ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥ)



「エンリカです。お連れしました」



おっ、到着してた。


お連れした、て掛け手への敬語だから奴隷でも”お連れしました”になんだよな。


ダレが奴隷じゃこらぁあああ!



「ダナーンズ士官、中尉、ハマミであります。司令に当て、バショク大佐の親書を持ってまいりました」



「受け取ろう」



敬礼を下ろし、撃たれないようゆっくりとポーチからペーパーフィルムを取り出す。


当然のように居たクロード大尉が受け取ってくれた。


司令の名をど忘れしてしまった。トイレットだっけ・・・



「置くだけでいい」



親書をクロードが差し出すと同時に司令が放ったその言葉に、思わず全力で奥歯をかみしめ、腹筋に力が入った。



思い出したわ。



(エンリカ!エンリカ!いますぐあたしを撃ち殺して!はやく!!)



(?なに言ってんのよ、さすがにまだ武装までは許されてないって)



「な、コレはっ!」



「ブルーレット司令、どうし・・・」



クロード大尉のその言葉で、決壊してしまった。



「グヒュゥウウウ!!!!!ウプッ、エフっ、ぎゅぅうううううううぅウフゥウウウウッ!!!!」



崩れ落ち、ヒザを抱えこんで床に丸まる。



変にガマンして緊張したのが最悪の破局を招いてしまった。



嗚咽。



「自爆シーケンスかッ?!」



「司令、御下がりください。兵を呼びます」



「いや、大尉。これを読みたまえ」



「ん?・・・これ、は・・・殿下を?」



「廉恥の心あらば、耐えられぬのであろう・・・ハマミ公女は知っておったのか」



「知りつつもここへ・・・司令」



「むしろ知っておったからだろう。心根が清らかすぎるのだよ、殿下は」



お二方から生温かい風が吹いている。いいぞ、なんかしらんがリカバリできそう。







「司令、発言をお許しください」



「エンリカ中尉か。なにかね」



裏切者のクセにそのまま士官待遇かよwwwさすがデカパイだな。







「ハマミ中尉は笑ってるだけです」








この裏切者!!!!!!






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