ひとのためといつわり

子供の泣き声で覚醒した。


「・・・ああ~、みつろう、オッパイか?うんちか?」


ゴン☆


「いって!」


目の前に金髪碧眼のおっさんの顔があった。


むこうものげぞってたから顔をぶつけ合ったらしい。


う~ん、額の傷がミステリアスなイケオジじゃ。


ここは「まだ気分がすぐれませんの・・・」などと個室の介護を要求し押し倒される流れに入るべきか、酒にさそい「なんか酔っちゃったみたーい!」の張り手押し出しでツメるべきか・・・


「キミ、自分の名前はいえるかい」


ショック!子供や未成年に見られてんの?!


・・・て子供じゃったわい。


なんだつまらん。


奥の壁際からズリズリと泣きわめく少年が連行されてゆく。


「ありがとう。・・・う~ん、イジメすぎちゃったな」


しかし光郎より四つも年長だろうにあのおむずがり様。

ま、とどめは刺しとくか・・・と立ち上がると男の大きな手で優しく制される。


「よしたまえ」


「わたくしには家の体面というものがあります」


「あれの姉は私の部下だ。悪いようにはせんよ」


「まあ、そうでしたの」


そうでしたのもどうでしたのも、なんで美少年庇う脈絡なんなん。

死んだ、つー姉の属性が過去形じゃないとこが好感度だけど、イケオジだけに女扱い馴れてる感じがなんだかな~。


つーかこちとらあの美少年が凶状付きになるを憐れむてわけでは無いんだが・・・プロボケ連打で敵視ガン積み(90年代女子高生ボキャ)したいです。


「とりあえず、代わりのドレスを用意させよう。キミ、こちらを・・・・」


げ、スカート潰れたは!あんのガキィイイイ!!!アンティーク貸衣装(子供服)やぞコレ!


「いえ、これ以上の御持て成しは遠慮いたしますわ」


立ち上がる。

敵意の立体おもてなし(親戚の巨人)で死んでもいいけど衣装がな・・・いや、あんま死ぬのよくないわやっぱ。


「ホスト手ずからに・・・とあらば断われませんけれど、このような歳でいまだ門限のある身ですので、失礼を」


肩越し秋波微笑みで全開攻撃やー!


公爵令嬢てウィンクも投げキッスもパンチラもポロリも禁止だしこれが限界っす。


意訳は ” 居付かれてもこまるやろ?帰ったるわ最低もう二度と来んぞ死に晒せボケー! ”


オトコ食えないパーティとかナニすりゃいんだ、つーの。


「それでは送らせていただこう。・・・後をたのむ」


はぁ~、主催抜けて落ち目の貧乏公爵令嬢の送迎やるってか。


「わたくし、送り迎えのいるような歳ではございませんのよ?」


いや、全力でそんな歳だけどさ~一度は断っとかんとな。

・・・でもそんじゃサヨナラ~、てなったらウケるwww嫌がらせに泣きながらハダシで帰ったるわwwwwwww


「もちろん、だがこれは主催の不調法。この上レディを独りで帰したとあっては私の戦歴に傷がついてしまう。どうか謝罪と共に何卒受け取ってもらいたい」


嫌味が無いな~。

コトバはチャラいのにいい性格してるわマジで。


「そうですか。ではありがたく・・・正直、招待カード以外はハンカチしか持っていないのです、助かります。・・・せっかくのパーティを台無しにしてごめんなさい」


なんか男は「謝罪する!」、つってふんぞり返るだけで女ばっかごめんなさい言わされてる気がすんだけど~・・・まぁ世の常、てやつかのうヤダヤダ。


そう思ったのが悪かったのか車までだっこで運ばれてしまった。

まー首絞められてたし精密検査無しで歩かせるのはちょっと怖かったてとこか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る