車掌
重厚なコートと制帽でビシッとキメたこの私は車掌です。
しかも地球迄の往復運行の宇宙電車
いよいよの発車まで暫くのティータイムです。
お気に入りのクッキーをキヲスクで購入し、車掌室へ入りかけたところで背中に強い悪寒を感じ振り向くと、そこには古い水夫のシャツにミニスカートというやたら煽情的なコスプレをしたエーテル様がおわしました。
「エーテル様?いかがいたしましたか」
「あの二人を・・・」
「は?」
「あの二人を乗せてはダメ・・・」
「あの二人ですか?どなたのことで」
「乗せたら絶対におろしてはいけないィイイイイ!!!!!!」
「ヒエー」
錯乱したエーテル様にビビって思わず一歩下がると、その姿はまるで白昼夢のように消えていました。
握り潰しかけたクッキーの缶をためつすがめつ、最近変な映画でも見たかなと車掌室の引き戸を開けたとき、耳元で声がしました。
「あの女じゃねーっつの。お前も男か・・・ほんと男て髪型と化粧しか見ねーよな」
うおっ、と振り向くと、そこには全身の皮を削がされた人が一瞬だけ見えたのでした。
更にちょっとだけビビった後、これはなにかの予言ではあるまいか、と心することに決めました。
キーワードは ” あの二人 ” 。
お客様の安全は、この車掌の信念にかかっているのです!
「しかし、ホントのジブンを見て欲しいのよ系のわがままですか・・・まぁあたし(男)にとっちゃ贅沢も過ぎた世迷い事に過ぎないですけどね、フッ・・・」
後の世に”全宇宙に惨と悲と死を齎した破局的災厄”の代名詞となる宇宙電車48《フォーリィエイト》の旅がはじまる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます