第80話 蒼月邸での鍛錬 -20-
目の前の光景に自分が一番びっくりする。
「わわわわわ!止めて、止めて!」
訳も分からず慌てていると、火の玉が放たれるのが止まった。
部屋の中のあちこちに衝突して煙が上がったものの、しばらくするとその煙も引いた。
視界がはっきりしてきたので周りを見回すと、小鞠さんが言ってたように防御が張られていたおかげか、損傷はないように見える。
結界の中の小鞠さんと
「琴音殿。さっきと同じように石に集中してみてくれんか?」
そう言われて、左手に握ったままの石に意識を集中する。すると、キャビネットは相変わらず見えているものの、光っているものは無くなった。
さらに、さっきは
目を開けてそれを小鞠さんに伝えると、小鞠さんはうーん、と少し考えた後で結界を解き、
「なんとなくわかったが、仕組みがまだはっきりせんな。」
と言った。
(当事者の私は何にも分からないままですが・・・)
何が何だかさっぱり分からず、石をじっと見つめる。
「さっき、数字の7が書かれておると言っておったが、ちょうど7発だったな。」
小鞠さんが
「そもそもどう言う仕組みで妖力が保管されるのかも知りたいところだが、もっと色々試してみたいのお・・・」
さて・・・と再び思案顔になった小鞠さんをただただじっと見つめていると、遠くから「ボーン、ボーン」という鐘のような音が聞こえてきた。
その音に耳を澄ませ、少しの間聞いていた小鞠さんは、音が鳴り終わると、
「おお、もう
そう言って立ち上がると、
「続きはまた蒼月が戻ってからにするとして・・・
と、それだけ言い残してあっという間にいなくなってしまった。
(あれ?この家に柱時計みたいなものなんて、あったっけ・・・?)
時計の鐘の音なんて鳴ってたかなあ・・・?と昨日からの記憶を呼び起こしている私に、
「小鞠様は本当に料理が趣味だからなあ。」
と言う。
「けど・・・
貸して?と言われて
「うん。もう、おいらの妖力はこの中にはない。」
確認するように頷いてそう言った。
一体どういうことなのだろう。というか、そもそも
今までは綺麗な石だなあ、くらいにしか思っていなかったものの、こんな現象を見せられては、興味が湧かないはずがない。
「ねえ、そもそも
話しっぷりから
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