第13話 出会い -3-

右か左か、どちらに進むべきか全く分からない。立ち止まって周りを見回すと、分かれ道の分岐点にある草が生い茂る中に小さな看板が見えた。


「あれは・・・?」


近づいてみると、古びた木製の看板が2枚地面から伸びていた。

文字はこちらの世界の文字なのか、さっぱり読めない。

文字はさっぱり読めないけれど、文字と合わせてピクトグラムにも見えなくない絵が描かれている。

一つは縦長の長方形がいくつか描かれているもの。もう一つは、人や動物が数体描かれているもの。


「いやぁ・・・・難問・・・」


近くで見てもさっぱりわからないので、視点を変えて遠くから眺めてみる。


普通に考えたら、人や動物が描かれた方が街を指していると思われる。

でも、この縦長の長方形はなんだ?と考えると、どちらも街に思えてしまう。


「さっぱりわからん!」


周りに誰もいないのをいいことに、大きな声で叫んでみる。


自分で言うのもなんだけど、私は人より勘が鋭い自覚がある。

でも、今回に限っては全くもって自信がない。


なぜなら、この世界に高層ビルがあるはずもないわけで、さっきも言ったけど、普通に考えたら人や動物が描かれている方が街だと思う。

でも、私の直感は縦長の長方形が並んでいる絵の方を推してくるわけで。

絶対にこっち、くらいの強い感覚なのだ。


どう考えても違うでしょ、と思うのに、


「起きることには全て理由があるのよ。それがご縁というものなの。」


再び母の言葉を思い出す。


それならば・・・と深呼吸をして、私は左の道を選んだ。

もちろん、縦長の長方形が並んでいる方だ。


心臓がドキドキと音を立てる。


その鼓動を聞きながら、一歩一歩足を進める。


そして、鼓動が鳴り止まないままたどり着いたのは、


「・・・ほらーー!やっぱり違ったー!!」


まさかの墓地だった。






「はぁー・・・・」


盛大にため息をつく。


私の直感どこいった?

がっかりして踵を返す。


今来た道を戻って、今度こそ右の道を行くか・・・

がっくりと項垂れて、地面を見つめる。


「ハー・・・」


あれ?今のため息は私じゃないよ?


「ハー・・・」


え・・・嫌な予感が瞬時によぎる。


振り返ってはいけない。


今裏切られたばかりの私の直感がそう言っている。

でも、さっきよりもっともっと強くそう言っているのだ。


振り返らずに逃げなくちゃ。


そう思うのに、足が動かない。


「グルルルル・・・・」


もう、振り返らなくても、危険が迫っていることが分かる。とにかく逃げなくては・・・それなのに、意思に反して身体ごとゆっくりと振り返ろうとしている自分がいる。


「グルル・・・・グルル・・・」


さっきよりも近くなる声に恐怖しかない。

恐怖しかないのに、振り返った身体は、その音の正体と向かい合わせに立っているのだ。

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