第19話
市民病院に救急搬送された僕は、血液検査やCT検査を受けたうえで、外来診察室のベッドで横になっていた。まだ、腹痛は収まっていない。心配する母や弟が側にいる中、担当医が血液検査の結果を見て、「白血球が減少していますね」と告げた。「え、自分死ぬのか?」と思いながら、僕らは医師の話に耳を傾ける。
医師の判断によると、白血球の減少により老廃物を出す働きが機能しなかったことが腹痛の原因だと言う。つまり、悪化した便秘のようなものである。確かに、思い返せばこの二週間近く、ほとんど便通がなかった。二週間も腸の中で便が溜まれば、それは腸の中もおかしくなるだろう。看護師さんが座薬を入れてくださり、飲み薬を処方されたことで、入院するほどの大事には至らず、朝方には家に戻ることができた。そして家に着くなり、座薬の効果が出たこともあり、トイレに駆け込んで、その後はもう……。
すっかり快腸となったことで、僕は昼から学校へ登校した。無理に学校へ行く必要もなかったのだが、僕にはこのタイミングで学校に行かなければいけない理由があった。実は、この頃から始まったマラソン大会の練習は、欠席したり体調不良で練習に参加できなかった場合、後日補修として同じように走らなければいけないというルールがあった。だが、本番で全体力を消費したい僕は、本番の後まで補修に参加して走りたくなかった。その一心で、僕は学校へ登校することを選び、無理をしてない程度にマラソン大会の練習に参加したのだ。薬の効果もあったのか、その後体調に異常もなく、また元の生活が始まった。
マラソン大会が終わってしばらく経ってから、久方ぶりにKから連絡があり、Jと共に来年度の春から通信制高校に通うことを決めたという報告を受けた。Kの再出発が、僕には嬉しかった。2年生も残り約1ヶ月で終わり、僕らも進路について本格的に考え始める季節を迎えようとしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます