第13話
初夏になると、学校では学校祭の準備に向けて少しずつ動き始めていた。実行委員会に入ったことで、僕は生徒会のメンバーとも親交を深めていた。学校祭実行委員会とは別に、クラスでも学校祭の準備を進めていったのだが、実はこれに僕は苦戦していた。
団編成になり、僕らのクラスである2年2組は1組と4組と共に『赤団』となった。その中で、僕はPR委員会の委員長となったのだが、いかんせん他のクラスのPR委員会担当の生徒のやる気のなさに辟易としていた。応援合戦なのかステージ発表なのか、赤団のPRをする企画を考えなければいけないし、どんな内容にするのかをまとめた企画書も生徒会に提出しなければならない。そんな状態でも、他のクラスのやる気のなさに呆れ、せめて2組だけでも頑張ろうと、クラス内のPR委員会のメンバーだけには、まとまりが生まれていた。
そんな中、夏休みに入ると、僕は職場体験、俗にいうインターンシップで、母校の中学校で4日間の事務職員の体験をした。中学時代から培ってきたパソコンのスキルを活かしたいと、当時から事務職員を志望していたため、進路担当の先生にお願いをして、職場体験の場を設けていただいた。
事務職員という仕事の体験は、僕にとって貴重な時間であった。教員たちの出勤管理や、倉庫の備品のチェック……まさしく、事務方が好きな僕にとっては、この手の作業が楽しかった。しかしその反面、葛藤もあった。それは「本当にこのまま、事務職員で良いんだろうか」ということだった。
創作活動として続けてきている脚本は趣味のままにすべきか、それとも本当に仕事とするべきか。夏休みの間、僕は自身の進路について、結構悩んでいた。
そして、インターンシップが終わって間もなくの夏休みの出校日の日。僕は職員室に行き、担任の先生に告げた。「事務職員は辞めます。脚本家になります」と。突然の進路変更だったが、僕は何も後悔はしていなかった。
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