第12話

2泊3日の北海道修学旅行は、あっという間に終わってしまった。小樽観光に始まり、『白い恋人』パークの見学、ラフティング体験……クラスメイトたちと過ごした時間は、本当に楽しかった。デジカメ片手に、僕は景色やら友人たちをたくさん撮影した。その1枚1枚の写真が、僕にとっては愛しいものであった。

それから一週間後、僕は風邪をひいて、咳が止まらなくなった。マスクをして学校に行くと、クラスメイトの数人も同じようにマスクをし、咳をしていた。僕には、その理由が分かっていた。北海道で体験したラフティングの最後に、僕らは浅瀬になったのを良いことに川に飛び込んだ。5月の北海道の寒さを舐めていた僕らは、見事に風邪をひいてしまった。この出来事を僕らは『修学旅行の後遺症』と名付けた。


僕はこの頃から、本格的に脚本を書き始めていた。昔から物語を作ることや読書が好きだった僕は、とうとう創作活動に本腰を入れるようになった。同じクラスの女子のYと話す機会が増えたのもこの頃。お互いに日記のようにブログをしていたこともあり、お互いに投稿した記事にコメントをしたり、時にそのコメントが学校の業務連絡になっていたこともあった。

塾などの習い事に通っていなかったため、僕は情報処理検定の合格に向けて試験勉強と脚本執筆に、十分時間を費やすことができたし、学校生活をさらに充実させようと思っていた。初夏になると、2学期最初に開催される文化祭と体育祭を兼ねた『学校祭』の準備が始まる。一年前は、クラスメイトとの時間を楽しむことしか考える余裕がなかったが、おかげさまでこの1年近くで友人関係にも恵まれ、心にも余裕ができていた。そこで僕は、『学校祭実行委員会』募集の話を聞きつけ、早速生徒会室に行き、希望者名簿に名前を記入。実行委員会として携わることが、この後、更に学校生活に拍車をかけるきっかけとなることを、この時はまだ知る由もなかった。

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