第11話
晴れて2年生になった僕たち。新しく赴任してきた先生が担任教師となったことと、Jがクラスを移動したこと以外は、それほど大きく環境そのものは変わらなかった。
だが、一つ変化として感じたのは、前以上に友人たちとの関係性が深まったと思うようにことである。相変わらずノートの貸し出しは日常茶飯事だったし、中学校からの友人グループとも行動をするときもあれば、Kを筆頭としたグループとも行動するときもあった。同時に複数のグループと関わっていると、一つ迷うことに遭遇してしまった。
それは新学期早々に案内があった『修学旅行』である。早速クラスメイトたちは、パソコンで情報を調べたり、旅行雑誌で北海道のリサーチをするなど、旅行準備に余念がない。そんな中、僕はグループ決めの際にどのメンバーと一緒にしようかと迷っていた。結構集中して考えた結果、部屋の班はKたちのグループ、自由行動での班は中学からの友人グループで行動を一緒にすることに決めた。
ゴールデンウィークが明け、僕らは飛行機で北海道へと向かった。5月の北海道は、まだ多少肌寒く、道の方々に雪の塊が残っている光景が多く見受けられた。また、信号機が横に三つ並ぶのではなく、団子のように縦に三つ並んでいたのが印象的だった。ガイドさんの、「雪の重みで信号機が倒れないようにしてある」という説明を聞き、思わず納得した。
小樽観光の後、宿泊する旅館に着いて夕飯を終えると、風呂の時間になる。『裸の付き合い』という言葉の通り、仲の良いクラスメイトたちでワイワイと露天風呂に入る。風呂の温かさと北海道の外の冷たい空気が、程よいバランスで気持ち良い。僕はエンジンがかかったように、外の景色であろう方向に向かって「ヤッホー!」と叫んだ。が、隣にいた友人たちが声をそろえて、「おい、そっち女風呂だぞ」と言った。僕は恥ずかしくなって、思わず頭まで風呂につかって隠れた。
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