第9話
新年を迎え、僕は3学期一発目からテンションを上げていこうと思い、「あけおめ!」とクラスメイト達に声をかけていった。昨年、携帯電話を買ったことで、日付が1月1日になってしばらくの深夜は、友人たちからの『あけおめメール』が殺到し、受信音が止まらなかったほどだ。Eメールでは、この時デコレーションメールがあり、テンプレのデザインではあったが、そこにメッセージを記入して送るというものだった。僕も、そんなデコレーションメールにメッセージを書いて、BCCで友人たちに一斉送信をしたほどだ。
その一斉メールを送った一人であるJは、新学期初日にも姿を見せなかった。あけおめメールは届いたが、年末からクラスでの疎外感などもあり、Jは学校に来なくなっていた。
情報処理検定の試験まで残り一ヶ月を切ったことで、Jのことが気がかりになりながらも、僕は相も変わらずコンピュータ部の部員たちと共に検定勉強に勤しんでいた。3学期となると、2年生への準備の期間でもある。コンピュータ部の副部長の依頼が来たのは、ちょうど検定勉強に追われているこの頃であった。
共に検定勉強をしているIが部長になることが、先輩や顧問の中で話が決まり、Iは副部長に僕を指名してきたのだ。学級代表代理など、本当に僕は何かしらの役を頼まれることが多い。「声がかかるうちがハナだ」と思っていたので、僕はIからの依頼を引き受けることにした。
そんな話をしていた矢先、Kと共にクラスで仲の良い友人のSが、ちょっとした痴話喧嘩で相手を殴ってしまい、謹慎になったという知らせが届いた。何故こうも、僕の周囲は謹慎になる友人ばかりなのだろうかと、心の中で嘆いたほどだ。僕がSの謹慎の話をKに携帯電話で話していた矢先、Jからのキャッチが入る。Jから電話をしてくることは珍しいが、内容は何となく察しがついた。Jは電話越しに初めて、クラス替えを決めたことを僕に話してくれた。
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