第8話
冬の寒さと比例するように、この頃のクラスの関係性は正直冷え切っていた。本人からは直接聞かされていないが、Jがブログで来年クラスを変えることを書いたことが、主なきっかけである。また、これはKから聞いた話ではあるが、俳優志望であるJのことをクラスのメンツがあまり快く思っていなかったようで、Jがクラスを変えたいと思った原因は、検定に合格できなかったという理由だけではなかったのだ。
そんな中でも許せなかったのが、Jの陰口を叩いていたのが、例の無断バイトで謹慎になった学級代表だったからだ。また、これもKから聞いた話だが、その学級代表は謹慎中にクラスの雰囲気が変わり、僕が学級代表代理をやったことも気に入らなかったらしい。どこにぶつけて良いのか分からない怒りがこみあげる。どれぐらい喋ったのか覚えていないが、電話越しでKに僕はついその怒りをぶつけてしまっていた。「そんなに怒ったのは初めてだな」とKからも驚かれる始末。
12月に入ると、無断バイトで謹慎が解けたKとJが学校に復帰した。だがJは、僕にクラス変更のことを口にはしなかった。他のクラスメイトもいる手前、相談ができなかったのかもしれない。だから僕から直接、Jにクラス替えのことを話題にするつもりもなかった。
女子のクラスメイトで一番話すNから、Jのことを言われたのは同じ頃だった。僕もうっすら気づいていたが、謹慎が明けてからというものの、Jは僕とKぐらいとしか口を聞かなくなっていた。Nから、これが現実であると言われ、僕は反論することができなかった。
Jのために、何か自分にできることはないかと僕は考えていたが、Nからは僕の性格は時に仇になると指摘をされた。Nは腹を割って話せる間だからこそ僕に忠告をしてくれたし、その指摘はごもっともで、自分の性格のことは自分が一番よく分かっていた。Jのためなら、僕は喧嘩になっても良いとさえ思っていたのである。
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