第5話

夏休みの出校日の時に、Kは僕と同じコンピュータ部への転部届を出した。元々野球部のエースで、ゴリゴリの運動部だったKは、高校の部活に対してそこまで熱量が無くなっていたようだ。僕が入っているコンピュータ部は、運動部と比べれば身体を使わないものの、検定合格に向けての試験勉強が主であるので、頭はそれなりに使う。勉強も嫌いなKがコンピュータ部で続くとは、正直思えなかったが、とにかく一緒に検定勉強を頑張ろうと、迎え入れた。

運良く、コンピュータ部で仲良くしていた別クラスのIはKと同じ中学校だったので、話は早かった。比較的大人しい性格のIが、平気で学校のルールを破っているKと親交があることに驚いたが、社交性のあるIはすぐにKを歓迎した。クラスでも部活でも、気が付けばKとは四六時中顔を合わせている欠かせない存在になっていた。


この頃、コンピュータ部で検定勉強に夢中になっていた僕にとって、Iと同じく進学クラスにいる、MとHという女子2人も、共に検定勉強をする部員であり、大事な存在であった。

ある日、検定勉強の中でExcelのパーセンテージの表示について教えてほしいとMとHに尋ねられたことがあった。僕はその時、『パーセンテージ』と言うべきところを、噛んで『パンテーン』と言ってしまった。実は自分ではそう言った自覚がなく、MとHに指摘されて初めて気づいた。「シャンプーじゃん」と自虐で言ったことがきっかけとなり、翌日からMとHはニックネームとして、僕のことを『パンテーン』と呼ぶようになった。こんなところからニックネームがつけられるなんて、いつネタは落ちているのか分からないものである。

僕のクラスは情報の授業が必須であったため、クラスメイトたちも検定合格に向けて勉強の真っ只中。気が付けばクラスでも部活でも、僕はいつの間にか検定勉強に追われる毎日を過ごし始めていた。

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