第4話

学級代表代理を引き受けてしまった話を、僕はその日のうちにKに思わず報告。Kはあまり驚いた様子は見せなかったし、むしろ他に適任者はいないだろうと言う。いい加減なように見えて、Kは案外クラスのことを見ているかもしれない。その電話の中で、Kから「夏休みに、うちに来ないか」と誘われた。

どちらかといえばインドアの自分は、あまり友達の家に遊びに行くことは数少ない。小学校の頃も、1ヶ月に1回か2回友人の家に行って、人生ゲームやすごろくゲームをすること、もしくは一緒に勉強を教え合うのがほとんど。学校のグランドで球技をしたことも多少はあったが、運動神経が悪く、『体育』という字を書くだけで拒絶反応を起こすぐらい運動が嫌いな僕は、外で遊ぶことがとにかく好かなった。遊びに誘われることがほぼ皆無だったため、Kからの誘いには驚いた。


何とか1学期の期末考査も無事に終え、夏休みに入った。Kの家は、我が家の最寄駅から電車で約10分のところにある山に囲まれた静かな場所にある。電車が着くと、Kは駅のホームまで迎えに来てくれていた。駅といっても無人駅で改札口もなく、ホームしかない。

案内されて、Kの家にお邪魔し、そのまま部屋に入る。友人の家に遊びに行くなんて、何年ぶりというレベルだ。Kの家に遊びに行ったからといって、特別何かをするわけでもない。学校という限られた時間では話せないお喋りを永遠としたり、KからAKB48のCDを頂いたりといったとこだ。この頃のAKB48のブームはすごく、僕はCDを買うことはなかったが、歌番組を録画して視聴していた。クラス内でも、「推しメンは誰?」と言った会話がよくあったほど。この日を境に、Kからは新曲が発売されるたびに、CDをお裾分けしてもらうようになった。

結局この日はほぼ一日Kのもとでお世話になったのだが、高校に入って初めての夏休みということもあり、印象に残る良い思い出となった。

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