第3話

梅雨入りになって、学校では衣替えが行われた。夏場はブレザー着用ではなく、カッターシャツのみ。ズボンも冬用よりも薄い生地のものを履く予定だった。が、東日本大震災の影響で生産が間に合っておらず、ズボンはそのまま冬用を流用することになった。

2ヶ月も経つと、中間考査も終わり学校生活も大分慣れてきた頃だった。1年2組の教室内では、すっかり僕は授業用ノートを友人たちに貸し出すことが恒例となっていた。ただ、これについては一つ問題が起こってしまった。いろんなノートを、いろんな子に貸し過ぎたせいで、誰に何のノートを貸したのか把握できなくなってしまったのだ。当時はLINEもなければ、ましてやグループチャットなどない。SNSもまだやっていなかったので、「誰か国語のノート持ってる?」と聞ける手段がないため、仕方なく諦めることもあった。


学校生活に慣れ始めると、当然クラスの雰囲気もだらけて、入学当初の緊張感のある空気ななどまるで最初から無かったような状態。そんな中で僕は、KとJが同じハンバーグ屋でアルバイトをしていると話を聞かされる。学校の規則で、アルバイトをする場合は生徒指導部に許可申請を出し、承認をされなければアルバイトをしていけないことになっている。が、そんなことお構いなしに、無断バイトは学校内で横行しているようだった。案の定、2組の男子学級代表のRは無断バイトがバレたことで謹慎処分、しばらく男子学級代表が不在という状態に。

ある日、僕は担任と学年主任から呼び出しを受けた。正直嫌な予感がした。KとJの無断バイトがバレて、状況を知る僕にも事情聴取をするのだろうと思っていた。だが、担任からは、「男子学級代表代理をやってほしい」という思いがけない提案をされたのだった。基本お願いをされると断れない性分の僕は、教師たちの眼差しを見て断ることができず、結局役目を引き受けることになった。

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