第2話

高校1年生の生活が始まって1ヶ月。僕は、ゴールデンウイークの間に念願の携帯電話デビューを果たす。これまでパソコンのメールでしか友達とやり取りをしていなかったが、とうとう携帯電話でのメールができるようになったのだ。

この嬉しさは学校でも止まらず、ゴールデンウイーク明けに学校へ着くなり、前と後ろの席に座るKとJに携帯電話デビューの報告をする。既に2人は携帯電話を持っていたので、赤外線受信でアドレスを交換。僕にとっては、このアドレス交換という時間も新鮮であった。


クラスの友人たちとアドレス交換をするようになってから、特にKとJからは頻繁にメールや電話が来るようになった。ただ、『明日の時間割教えて』『ワークの答え教えて』といった、業務連絡が多かったのは事実。また、この頃から同じクラスのSとも話すようになり、この4人で一緒にいることが増えるようになった。もちろん中学から親交のある友達との時間は相変わらずで、女子とも話す機会が増え始めていた。


この頃はSNSよりも、コミュニケーションツールとしてはブログが主流だった。僕も中学3年生から始めていたブログがあり、KもJも趣味や日記のブログを更新していた。ただ、高校の生徒指導部はネットチェックが厳しく、ブログから情報を仕入れて、指導の対象にしたこともあったそうだ。授業中に携帯電話が鳴ってしまった際の没収も含めて、生徒指導はそれなりに厳しいものだったのかもしれない。

だがそんな環境の中でも、高校生だからできることや楽しいことを見つけることは大事だと言い聞かせてくれたのは、思いがけないKであった。ボートレースやら喫煙といった本来ならばアウトなことをしているKだが、正直その言葉は自分の中で刺さった。Kとは、Jと共に将来の夢についても話し合ったことがあり、勉強だけではなく、日々の学校生活を楽しむことが大事なのだと、僕は気づかされた。

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