第17話 みにくいアヒル姫は黄金に発光する人をはじめて見る
「ユリウス皇帝陛下、私は『鷲の目』を持っているのですよね??つまり、ユリウス皇帝陛下は私が『鷲の目』を持つからここへ連れてきたのですか??」
やっとすべてが腑に落ちた。むしろあったことない全裸の変態美男子になぜか求婚されているという正体不明の恐怖から、私がどうやら『鷲の目』というものを持っていて、皇帝という立場を盤石にするために必要だから連れ去ったというなら辻褄があうと思った。
しかし、その言葉になぜかユリウス皇帝陛下の表情が変わった。
「違う!!確かにルーナは『鷲の目』だ。けれど、俺様がルーナを好きになったのはそんなこと知るよりずっと前からだ!!」
『……ちゃんと説明しなければ、姫には伝わらんぞ』
ユリアの言葉に、ユリウス皇帝陛下の表情が真剣なものに変わった。
「……ルーナ、『鷲の目』を持つ皇族は……うっ」
ユリウス皇帝陛下が説明をしようとした時、突然その体が黄金に輝き始めた。全裸に羽だけ生やせた人だが流石にいきなり金色の輝き(物理)を放つ人は見たことがないので茫然と見つめていると目を開けていられないほどひときわ輝いた後、ユリウス皇帝陛下が姿を消してしまった。
「えっ、ユリウス皇帝陛下??」
あまりのことに驚いていると、肩のあたりに慣れた気配を感じて振り返る。そこには見慣れた親友の白頭鷲であるユーリが居た。
「ユーリ、戻ってきたの??」
いつもなら嬉しそうに頭をこすりつけてくるユーリがなぜか今日は微動だにしない。あまりに微動だにしないため白頭鷲からハシビロコウにジョブチェンジしたかと疑ったが、しばらくするといつものように私に頭をこすりつけてきた。
『姫よ、何か気づくことはないか』
ユリアに突然そう言われたが、ユーリはいつも通りだし特に気づくことはない……と思ったがある衝撃的なものが視界に入った。
それはユリウス皇帝陛下が身に着けていた服が地面に散乱していたのだ。それを見た私はある確信を覚えた。
「……ユリウス皇帝陛下の服が散乱しています、つまり、ユリウス皇帝陛下は」
私は、前に小説で読んだ名探偵のように少しためてから灰色の脳細胞で解き明かした推理を口にする。
「ユリウス皇帝陛下は、気が向くとすぐに服を脱いで歩き回るタイプの露出癖があるようです。今もなぜか黄金に輝いた後に、服を脱いでどこかに消えました。つまり今あの人は全裸でその辺りを歩き回っているということですね、羽も生える人なので飛んで行ったかもしれません」
推理に自信があったのでドヤ顔でそう言い放った私を、白頭鷲なのにチベットスナギツネみたいな虚無顔で見たユリアがハァとため息をついたあとにゆったりとした口調で言った。
『全く。お前の姫はとても鈍感そうだな、ユーリ』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます