第16話 みにくいアヒル姫は『鷲の目』が何か知る
あまりに美しい白頭鷲に目を奪われていると、驚きの出来事が起こった。
『初めまして、ルーナ姫。妾はユリア』
頭の中に美しい女性の声が響いたのだ。あまりのことに周りを見たが美しい白頭鷲以外は居ない。
「まさか、あの、貴方がユリア??」
驚いて、白頭鷲に聞くととても澄んだ黄金色の瞳が私を捉えた。その瞳はどこからユーリやなぜかユリウス皇帝陛下をも彷彿とさせる。
『そうだ。妾は聖獣ゆえ人語を解す。息子から其方の話はよく聞いている』
ユリアが息子と言った瞬間、この庭に存在する大きな巣がある木と元気に私の元を訪れたユーリの姿が浮かんだ。
「貴方の息子とは、ユーリのことですか??」
『そうだ』
その言葉にユーリに関する謎が解けた気がした。つまりユーリは皇宮の庭園に住んで居る聖獣の子。ユーリ自体は聖獣ではないかもしれないが尊い存在である。
「ユーリは聖獣である貴方の子なのですね。だから皇宮内を歩いている時、周りの侍女や騎士が敬意を払っていたのですね。納得しました」
『……なるほど。まだ、ユーリは其方に真実を告げていなのか』
やれやれというような動作をした美しい白頭鷲の聖獣ユリアはなぜかユリウス皇帝陛下を見つめている。
『全く、嘘偽りがどれだけ意味がないことかは教えてきたつもりだったがな。『鷲の目』を持つ姫よ。其方は選ばれた存在だ。姫よ、この国の始まりとなった鷲の精霊王の話をどこまで知っている??』
「この国を作ったのがその偉大な鷲の精霊王だということ、この国の皇族の方は鷲の精霊王の末裔で『鷲の目』を持つ者だけが皇位を継ぐと……」
『なるほど、基本的なことだな。鷲の精霊王と呼ばれている存在が実は鷲でないということはやはり知らぬようだな』
ユリアはまたなぜかユリウス皇帝陛下を見つめながら話はじめた。
『鷲の精霊王は鷲に似ているが正確には『比翼の鳥』と呼ばれる存在なのだよ。この鳥は1羽に見えるが実際は雌雄それぞれ目がひとつ、翼がひとつのため二羽が一体となっている存在だ。つまり帝国の皇族で『鷲の目』を持つ存在には必ず、その半身とも呼ぶべきもの存在し、その存在を娶ってはじめて完全な存在となるのだ』
穏やかにそう話された時、なぜ会ったことのないユリウス皇帝陛下が私に執着したのかを理解した。なんの取柄もないみにくいアヒル姫をこの世界で一番の国の皇帝が連れ去るなんておかしいと思っていた。
しかし、今の話が本当ならたとえそこに『愛』がなくても私が必要だったことになる。
私はユリウス皇帝陛下を真っすぐに見据えた。
「ユリウス皇帝陛下、私は『鷲の目』を持っているのですよね??つまり、ユリウス皇帝陛下は私が『鷲の目』を持つからここへ連れてきたのですか??」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます