第3話 みにくいアヒル姫とクローゼットから出てきた変態

背後から現れたのはキラキラしたまさに美しいお母様にそっくりの2番目のアレンお兄様が立っていた。


私には、王太子で美しくも逞しい王太子のエドワードお兄様と、今目の前にいる第2王子であり見目がとても麗しく優しいアレンお兄様が居る。


そのふたりはとても美しいのに、私はどうしてこんなに冴えないのかといつも思っていたけれど、今はそんな風に落ち込んでいる場合ではない。


「あら、アレン。大したことないのよ、ちょっとトラブルがあって……」


「大したことないね……。この国の王妃が自身の娘である姫が婚約者より贈られたドレスを勝手に着ることに問題がないというのか??」


謎の声の声色が今までで一番低くてすごく怒っているようなのが分かった。

その言葉にアレンお兄様の顔色が変わるのがはっきりと分かった。


アレンお兄様はとても優しい方で、あまり争いが得意ではない。だから今の状況に困ってしまうかもしれない。


「……あの、お兄さ……」


「……母上、それは本当ですか??、勝手にルーナのモノを取り上げたのですね」


急いで間に入ろうとした私は、お兄様の言葉に思わずそのお顔を見てしまう。だって、お兄様は『また』とおっしゃったのだから。


「何を言っているの。ルーナに贈り物が来るはずがそもそもないのよ。だからこの白百合宮に届くものはみんな私の物に決まっているじゃない」


白百合宮とは、この国の女性王族が住む宮殿のことで今は私とお母様のふたりがそれにあたる。ちなみに男性王族はまた別の宮でそれぞれ生活されている。


そして、白百合宮の管理はお母様がされているので、こちらに届く者の管理や人員の配置の権限も全てお母様にあるため私は全く知りません。


「……僕がルーナに送り続けた少女用のドレスも装飾具もたくさんのプレゼントも全てお母様がどこかにやってしまいましたよね??そのことについても僕は何度もやめるようにお話しましたが、やはり全く響いていなかったのですね」


アレンお兄様の言葉に私は目を見開くことしかできなかった。ちょっと目を見開きすぎて痛かったので急いで瞬きしてまたアレンお兄様を見つめた。


「一国の王妃が、盗人とは相応しくないな」


「だから、無礼者のあんたは誰なのよ!!」


お母様がいつもの気品を完全に捨てた言葉でそう言った時、いままでクローゼットから聞こえていた声の主が姿を現したのですが……。


「なっ、なんで全裸なのよ!!」


お母様が私より先に言いたいことを言いましたが、そこには見目麗しい全裸の青年がおりました。


白銀の髪に鋭い黄金の瞳をした美しい方なのですが、全裸です。一糸まとわぬ姿ってヤツです。ちなみに全然面識がない人です。


なのにこれでもかってくらい堂々とその人はそこに立っていました。


「……僕の可愛い妹の部屋になんでへん……いえ失礼なぜユリウス皇帝陛下が全裸で妹の部屋にいるのですか??」


「婚約者だからそこまで不思議じゃないだろう、後、今すごく失礼なことをいいかけたな??」


不敵に堂々と全裸で笑うその人はどうやら、この国の宗主国である皇帝陛下のようなのですが、あんまりなことに信じられません。


さらに、私はみにくいアヒル姫なので婚約者は居ないはずなのに、この人が婚約者って事実はないはずです。


さらに、なぜ全裸で私の部屋のクローゼットにいたのかも気になり過ぎて夜しか眠れそうにありません。


「ユリウス皇帝陛下??この不審なイケメン全裸男が??」


「ふん。盗人王妃よ、俺の可愛い可愛いルーナに贈ったものを略取した罪は重い。そして、こんなひどい環境に可愛い可愛いルーナを置いておきたくない!!」


初対面の全裸の人にいきなり自分のもの宣言されるというショッキングな出来事に私のSAN値が著しく減った気がしたが、私の受難はまだ終わりではありませんでした。

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