シーン12 キミがいてくれたから……

 演出:吐息。耳元。


 はぁ……。


 どう、かな? 癒す……が、私はよくわからない。から、キミにしてもらったらうれしいことをしてみた……、のだけれど。


 うん。うん。そう? 

 そうね。こうしてぎゅっと抱き合ってると安心する。そう思うわ


 人の体温や抱擁や吐息……、異性から受けるそれは幸せホルモン、オキシトシンというらしいのだけれど、それが分泌されるらしいの。


 だから、こうして……


 SE:衣擦れ


 抱き合ってるだけで癒し効果がある……、らしいのだけれど。

 え、癒しというか、興奮してきた、胸が当たって、柔らかくて……って?


 うん……、そうだね。キミも男の子だもんね。

 いいよ。それでも。私は気にしない。だって、私はキミの彼女さん、だから。


 でも、もしキミが大丈夫だったら、もう少しこのままがいい、かな。


 え、なんで……って。

 その、実は私もこうしてると、そのすごく安心してしまって……。


 はぁ……、ん。


 安心するなぁ。気持ちいいなぁ……。手を回すと、キミの背中がとっても大きくて、しっかりしてるのがわかるね。広くて、力強くて。温かくて。


 それに……。


 SE:衣擦れ


 こうすると、キミがぎゅってし返してくれるのがとってもいいなって……。

 ふふ、これじゃ私の御褒美だね。


 うん、うん。そう? そうなんだ。

 ふふ、ありがと。


 ……文化祭の最後にキミが告白してくれた時はびっくりしちゃった。本当にびっくりしたんだよ? あんな、みんなの前でだなんて……。


 でも、それ以上にうれしかった。


 私はキミの事がずっと好きだったのだけれど、でもキミはそうじゃないのかも? と思ってたから。


 キミは優しいから、私が困ってたらいつでも助けてくれたでしょう?


 それはなんでだろう。もしかしたら私の事が好きだからなのかな……? そう思ってた。でも、キミって誰にでも親切で優しいでしょ?


 自信が無くなっちゃった。


 自分でもわかってるわ。

 私は私自身に自信が持てない。みんなに頼られてても、生徒会長なんてやっていてもね。


 もっとちゃんとしなきゃ、努力しなきゃ、何もできない私は愛してもらえないんだって焦燥感がずっとあった。


 でも、キミが傍いてくれると、それが少し薄れたの。

 私が生徒会長を頑張れたのも、キミが居たからだよ。


 一人だったら絶対に潰れてた。


 うん。うん。ふふ。そうなの?

 キミも私と一緒に生徒会をするのが癒しだったの?


 私が会長になったから、生徒会に入った? そうじゃなかったらあんなめんどくさい仕事はしなかった? えー……? そうなの? ほんとにぃ?


 信じられないなぁ。キミって優しいもんなぁー。


 うん。うん。そう? そうなんだ。

 あの頃から、私の事が好きだった? むしろもっと前から好きだったって。


 えー……、じゃあもっと早く告白してくれたらよかったのに。


 ……でも、それは私もかな。


 私こそ、悩んでないで、素直になれたらよかったな。

 そしたらもっと早く、キミとこうなれたのに……。


 SE:衣擦れ


 え、どうしたの?

 うん。愛おしさがこみ上げてきて? 抱きしめたくて仕方なくなった?


 そうなんだ。

 ふふ、私もよ。


 ね、首筋食べていい?

 だっておいしそうなのが、目の前にあるんだもの。


 うん。ありがとう。

 これからも、ずっとよろしくね。


 

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