シーン7 買い出しはあなたと一緒に

 SE:街のガヤ

 ええと、これと、これと……。


 これも買ったし、これはもう大丈夫なやつだし……よし。買い出しはこれでいいかしら。


 うん。ええ、そうね。これで大丈夫。

 ごめんね。急に物品が足りなくなるなんて。


 本来調達は生徒会の仕事では無いのだけれど、手が空いているのが私達だけだったから。


 準備期間は大変だったけど、いざ文化祭が始まってしまえば、トラブルが無ければゆっくりできる……はずだったのだけれど。なかなかうまくいかないものね。


 え、私と一緒なら雑用も楽しい?


 演出:照れ

 そ、そんな事……。


 で、でもあなたは、クラスの展示にも参加していたでしょう? そっちは大丈夫だったの? 


 私が声をかけたらすぐに駆けつけてくれたのは嬉しかったのだけど、よく考えれば、あなたは忙しかったんじゃ……。


 え、大丈夫? 大道具係だから? お化け屋敷だし……って?


 そう? それならよかったけれど。


 そう。そう。そうなんだ。演劇部の生徒さんが中心でお化け役をしているのね。始まれば、裏方は基本的にひま、と。そうなんだ。


 怖がってるカップルの写真を撮って冷やかすぐらい……って、


 演技:すこし焦り

 そ、そんな事をしているの? 大丈夫なの。その倫理的に……。怒られたりしないの?


 そういうサービス? その場で貰えるプリント写真二枚付きで、入るときに了承はちゃんと得ている。同意してくれるのが入る条件……? 


 そう、それなら、良いの、かしら……。


 でも二枚の内、一枚の撮るタイミングは知らせていなくて、驚いてる一番おいしい時がシャッターチャンスだ。……って。


 絶叫顔や変顔が撮れる。それがカップルだとなお良い……。


 演技:焦り

 それ、本当に大丈夫……?


 今のところ苦情は来てない? カップルで一緒に文化祭を回るようなふたりなら、多少冷やかしても問題ない……。


 文化祭中なんて人の目が多い場所で一緒にいるって事は、周囲にバレても問題ない間柄だろうし? う、うーん……。そうなの、かな……?


 え、私? 私のクラスは……。うーん……。正直、言いたく無い、かも。


 なんでって。う、うん……。その、あなたのクラスの出し物に苦言を呈しておいてどの口が、なのだけれど。ちょっと風紀的に問題があって……。


 実は、その、ハンドマッサージのお店なの。アロマオイルを使った……。

 そう、そうよ。アロマ。元々は、私の発案で……。


 あ、アロママッサージって知っているかしら? いい香りのする精油で手をマッサージするのだけど。そう、そうよ。え、手だけよ! もう、何を言うのよ……。


 元々、医療で行う緩和ケアや、介護の領域でやっている事の一つ。


 将来の進路の一つとして、調べて知ったのだけれど、病気で苦痛が取れない患者さんや高齢の方に出来るだけ負担をかけずに、リラックスしてもらうためのケアなの。


 方法は簡単。リラックス効果のあるアロマオイルを手に塗って、それでマッサージするだけ……というものだったんだけど。


 だったんだけど……。

 え、うん。そう、ね。なんで歯切れが悪いのかというと……。


 メイド・執事喫茶と一緒にしてしまったのよ……。


 わ、私の発案じゃないわよ!?


 みんながそれだけじゃ面白くない。どうせならコスプレしてやれば楽しいって言いだして……。私は反対したのだけれど!


 そう。そうよ。最初はバニースーツだなんだと過激な意見も飛び出して。

 なんとかメイドおよび執事喫茶という所で落ちついたわ。


 でも、ちょっと、その、いかがわしいサービス感が出てしまって……。


 え、ええ!? いくの? 今から?


 私もメイド服着るんでしょう……って。 それは、シフトが回ってきたら、着る……、けれど。


 待って待って待って!? なんでそんなに急に元気になってるのぉ!?

 

 

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