シーン6 恍惚としてた?

 ――はっ、ご、ごめんなさい。浸っちゃってて。


 ……ひいちゃった?


 え、うん。そう? 大丈夫? 面白かったし、なんか可愛かった……って。

 な、何を言うのよ……。


 うん。そう。そうね。冷めないうちにいただきましょう。

 あっ、そうだ……。


 SE:ごそごそ


 えっと、あとこれも……、うん。おやつ。紅茶と一緒に食べようと思って。

 一応、スコーン、なのだけど……。


 ええ。そう。私が焼いたのよ。

 お母さんに教えてもらって、あなたと食べようと思って。


 でも、その。実は……。


 ちょっと……、その焦げちゃって……。あと形も歪で……。

 演技:恥ずかしそうに


 で、でも紅茶には合うのよ。

 味も補償するわ。焦げちゃったところは、ちょっと苦いかもしれないけれど。


 演出:間


 あ……。食べた。


 ど、どう? おい、しい……?


 そう。おいしいんだ。

 そっかぁ……。ふふふ。良かった。


 あ、そんな一度に食べたら、喉に……っ。

 ああ、言わんこっちゃない! 大丈夫!?


 紅茶飲みなさい。これ、はい。少しぬるくなってるから一気に飲めるから!


 演出:間


 ……平気になった?

 そ、そう? でも、よかったぁ……。


 あなたが喉に詰めちゃったらどうしようかと。


 え、そんなやわな身体はしてない?

 これからも、会長の手助けしながら、紅茶やお菓子が食べたいから……?


 ふふふ、バカ。

 ほんとにバカね……。


 うん。でも、そうね。

 二学期は文化祭もあるし、書記の佐々木さんも大会が終わったら合流してくれるし。


 また、たくさんの仕事が舞い込むと思うわ。

 うちは少数で、万年人手不足。会長の私も頼りないかもしれないけど。でも……。


 いつも支えてくれるあなたがいてくれるなら、大丈夫かなって思える。

 ね。あなた。いつも私の事を気にかけて、助けてくれるあなた。


 なかなか素直に言えないけれど、本当に、本当にいつも感謝しているのよ。

 紅茶とお菓子で少しは恩返しできたかなと思ったけど、でも駄目ね。ちっとも足らないわ。


 だから、ね?

 お願いだから、またお礼をさせて、ね。

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