シーン5 甘い氷砂糖は好みでいいのよ
えっと、甘いのは大丈夫?
うん。そう。紅茶に入れるお砂糖の話。
私は結構甘党だから、よく入れるのだけれど、あなたはどうかと思って。
うん。そう、そうね。よかった。
甘いのは好きなのね。じゃあ、これ……
SE:コツン
えっとね。私のおすすめなのよ。それでね、あなたに教えてあげたいなって……。これは何かって? キャンディス……、ええと。シロップ漬けの氷砂糖よ。
綺麗な瓶でしょ? おしゃれなのもお気に入りのポイント。
ドイツの会社が作っている商品なのだけれど。キラキラで素敵でしょ?
私が今回持ってきた紅茶はダージリンで、これだけでも香りが素敵なんだけど、このキャンディスを入れると、もっとおいしくなるの。
フレーバーもいろいろあるのだけれど、私のおすすめは断然、このアールグレイよ。
え、アールグレイっていうのは、お茶の名前じゃないのかって?
ふふふ、実はアールグレイという茶葉の品種は無いのよ。
茶葉に直接アールグレイのフレーバーを付けたものが、一般的に言われるアールグレイの茶葉なのだけど、独特の香りがあって人気があるわよね。
うん。そう。そうね。
私もアールグレイが一番好きなのだけど、今日はこのキャンディスをあなたに試してもらいたくて、あえてダージリンにしたのよ。
ほんとは、茶葉もアールグレイにしても良かったのだけれど……。
うう……、やっぱりアールグレイにしたほうが良かったかしら……。
え、アールグレイとアールグレイで被ってるじゃないかって?
い、いいじゃない……好きなんだから……。ほんとにおいしいのよ?
そ、そもそもね、アールグレイというのはベルガモットの香りをつけた茶葉を指すのだけれど、それ自体が茶葉の名前というわけじゃないの。
べ―スになる茶葉は産地によって種類があって、セイロン、ダージリン、アッサムなんかいろいろで……。またそのブレンドあるわ。
アールグレイとひとくちにいっても、もとになる茶葉の種類や配合でも微妙に変わる場合もあるし。アールグレイ道は奥が深いし、それだけファンも多い……。
特徴的な香りのよさが、紅茶好きの心をとらえて離さないのよね。
その香り自体に惹かれて、アールグレイ風味の焼き菓子やスコーンなんかも多くて、とっても好まれているフレーバーなの。
そして、このキャンディスは、そんなアールグレイの魅力をぎゅっと濃縮した――……
え、めっちゃ語るねって……?
あ、ご、ごめんなさい。つい興奮しちゃって……。
私ったらついつい我をわすれて……。
え? うん、うん。……いいの? もっと続けてって? 聞いてるだけで楽しいから……って。……そ、そうなの? なら続けるけれど……。
えっと、それじゃあね、とにかく、この紅茶にキャンディスをを入れるわね。
量はお好みで……あまり入れすぎると、甘くなり過ぎちゃうから、これくらいで、と……。
SE:ちゃぽんちゃぽん
うん。そう。ガラスのカップだとキラキラしてとっても綺麗でしょ。だからガラスがいいのよ。
SE:パキパキ
氷砂糖の良いところは、この音。
熱い紅茶で、氷砂糖が割れていく音が、心地よくって……。
香りも。ほら、アールグレイの心地いい香りが漂って来て……。
ふう……。
はぁ……、ううう。良いなぁ。この香り……ほんと、好き。
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