シーン4 おいしい紅茶なら癒されてくれるかな?


 SE:コポコポコポ


 多めの茶葉を入れたポットに熱いお湯を入れて……、これでよし……、と。


 うん。そう、そうね。

 これは私物。スイッチ一つでお湯を沸かせるタイプの電気ポットと、カップとポット。


 基本的に生徒会室に私物持ち込みは良くないのだけれど、生徒会の仕事をしているとコーヒーや紅茶を飲みたくなるでしょう? デスクワークというものは眠くもなるものであるし……。


 ええ。そうね。先生にはちゃんと許可はもらってる。


 全生徒の模範になるべき生徒会役員ではあるけれど、これぐらいの役得は許されると私も思うから。


 ええと、紅茶よね。うん。今は蒸らしている最中よ。

 興味あるの? え、私がしている事にはなんでも興味がある……って。


 演技:照れながら

 そ、そんなこと……。


 あ、匂い? ふふ、もうこの段階から香りがいいわよね。

 ミルクを入れてミルクティーにしてもまた風味が変わるのだけれど、今日はストレートがいいかなと思ってる。


 うん。待ちきれないわよね。わかる。 

 でも、もうちょっとだけ待ってね。


 うん。うん。え、紅茶に詳しいの? って?

 ……そうね。詳しいと言えるほどかは分からないけれど。


 もともとおばあ様が紅茶が好きだったの。それでよく飲ませてもらっている間に、自然と、ね。


 え、紅茶の事、教えてほしいって? 


 そんな人に教えるほどしっかり知っているわけでもないし……。でも、うん。これからもこうして、あなたとお茶をしたいと思っていたから、知ってもらった方がいいのかも……。


 ええとね、おいしい紅茶には淹れ方のゴールデンルールというものがあるの。


 お水は水道水でもいいのだけれど、沸騰したてのものを使うのが鉄則。

 保温ポットで保温しているお湯では、温度が足りなくて香りが上手く出ないの。


 茶葉の状態も大切よ。湿気ると香りが悪くなる……らしいから、乾燥していて涼しいところで保管する必要があるわ。うちでは専用の戸棚があるけれど……。


 うん。そうね。冷蔵庫でもいいと思う。結露にだけは気を付けてね。


 ポットは陶器か……、もしくはガラス製のものがいいわ。安くてデザインの良いものが揃っているし、洗浄もしやすいから。私のもガラス。綺麗でしょ?


 あとは……今日持ってきた茶葉はダージリンという品種。紅茶のシャンパンと言われる王道中の王道よ。


 うん。コンビニのペットボトルで飲んだことがある? ふふ、淹れたての紅茶はもっとおいしいわよ?


 茶葉から淹れた紅茶は、香りがとてもしっかりしてるわ。

 だから、あなたはびっくりすると思う。


 これが本当の紅茶かっ! って言っちゃう、かも?


 ――ふ、ふふふ


 演技:笑い堪えられなくなってくる感じ


 く、くふ、ふふふふっ。


 ご、ごめんなさい、ふふふっ。

 あのね。あなたがオーバーリアクションで驚いてるところを、勝手に想像して勝手に笑っちゃったのよ。


 ごめん、ごめんなさいーっ、

 だって、とっても面白かったんだもの。


 君はとっても優しいから、 許してくれるよね?


 あ。もう良いかな。じゃあ、次に進むわね。

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