シーン3 仕事のしすぎ……?

 SE:扉を開ける音


 あ、いらっしゃい。うん、待ってた。


 うん、うん。そう。ふふ、いつも私の方が先ね。

 これでも早く来るようにしてる? 副会長としての責任……って。


 ふふっ、そうなの? そんなに気負わなくていいのに。


 今日、実はお仕事がないの。

 だからゆっくりできるわよ。 


 ううん。いいの。仕事があっても無くても私はここにいるから。

 それに、あなたが来てくれるでしょう? 


 あなたが生徒会に参加してくれるから、私もできるだけここに居るようにしているのよ。


 うん。うん。そうね。

 え? でも昨日長瀬ながせ先生が大量に持ってきた仕事があったはず?


 あ、えっと……、あれは、その……。

 演技:焦っている風に


 ……実はね。お昼休みにここに来てその時に片づけてしまったの。見た目ほど大変な仕事では無かったし。


 え、なんでお昼食べてないの? ……って。ううん。食べてるわよ。ちゃんと食べてる。


 でも食べてる間にも、書類に目は通せるでしょ? お昼はいつもサンドイッチだから、片手はく。それなら簡単な仕事ならできる。


 私は基本的に不器用だし、人付き合いも苦手。数学もダメダメで、欠点ばかりの人間だから、人一倍頑張らないといけない。そのためには、時間は効率的に使わないといけないと思うのよ。


 演出:焦り

 ええ。なんで頭を抱えているの? だ、大丈夫……?


 え、わたしはもっと休んでいい? 会長は十分働いてる。 

 仕事のしすぎて基準がおかしくなってるんじゃないかっ……て。


 演技:自信なさげに

 ……そんなことは。ない、と、思う……けど。


 うん。うん。そう、そうね……。確かに、仕事をしてないと落ち着かないというか、不安になるというか、そわそわする……、そういう所はあるかもしれない。


 それがいけない? もっと気楽に生きるべき……って。

 自分を大事にしてほしい。生真面目すぎて、心配になる?


 え、ええ?

 そう、なの、かな……。


 うん。うん。え、そう、なの?

 そんなに心配してくれる、の?


 そう、なんだ……。

 わたしの事がほっとけないって……


 演出:やや接近


 そ、それはどうして……?


 演出:さらに接近


 お、怒ってないわよ。ただ、その理由が聞きたくて。

 

 そう、私をほっておけない理由。

 それは――


 演出:やや接近


 大事なひとだから――って


 演技:焦り、テンパり気味で。少し離れる



 え、え、えええ。そんな。大事って、え。それは、一体どういう……っ


 演出:間


 ――あ、うん。そう……。


 演技:スンっという感じ


 大事な生徒会長だから、という意味なのね。


 演技:落ち込んでいる


 生徒会長だから、生徒会長だからね……。そう、そうなのね……。


 え、あ。お、落ち込んでないわよ?

 大丈夫。別にどうもしないわ。


 動揺もしてない。だって私は生徒会長だもの。みんなの模範だもの。

 あなたが急にへんな事をいうものだから、驚いてしてしまっただけ。


 ふう……、これではだめね。

 堂々としてなくちゃ駄目よ。


 だって、私は生徒会長なんだもの。



 ――あ、そうだ。忘れるところだったわ。

 あのね。急いでお仕事を終わらせてしまいたかったのには理由があるの。


 とってもいいお紅茶を頂いたのよ。

 家で淹れてみたのだけれど、それがすごく良くて。


 それで、ね?


 いつも助けてもらっているあなたと一緒に、ゆっくり飲みたいな……って。


 駄目、かしら?

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