12「真実」
三年後。
黒香は、真面目大学へと進んだ。
あやとは、大学へ行かずに、仕事に専念していた。
もう、籍は入れていて、あやとの苗字になった黒谷黒香は、さらに黒くなっていた。
黒色が好きで、黒を好んで着ている。
住む場所は、屋敷になっていた。
屋敷は、掃除をして、整備して、業者にも来てもらって、庭も綺麗にした。
すると、とてもよい土地へと変化した。
あやとは、両親に一緒に住まないかと提案すると、喜んで屋敷に引っ越してきた。
今まで住んでいた家は、売りに出した。
その時、初めて、黒香の両親と写真で会う。
写真では、とても優しい顔をしていた。
「黒香さんのご両親、とてもいい人だったのね。」
「本当に優しい顔をしていらっしゃる。」
その一言が、あやとにとってはとても嬉しかった。
屋敷で、両親と黒香、黒猫のクロとカラスのクローバーと暮らしているあやとだ。
時に大変だけど、幸せに暮らしていた。
そんな時、あやとは、仕事で少しだけ遠くに行くことになった。
「気を付けてね。」
「黒香さんも、黒神の仕事も含めて、気を付けてね。」
「あやと、今回、一緒にいけないにゃ?」
「一緒に連れていけないよ。だから、黒香さんと両親、守っていてね。」
「わかったにゃ。クローバーと一緒に守るにゃ。」
自分が運転する車に乗って、仕事へと行った。
クロと離れるのは、本当に久しぶりで、少しだけ肩が寂しい。
「仕事を早めに終わらせて、一緒に帰るか。」
そう思った時だ。
横から、赤信号を無視してきたトラックが突っ込んできた。
瞬間、あやとは意識を失った。
目を開けると、そこには黒い光があった。
その光には、耳があった。
「目覚めましたか?」
「ここは?」
「ここは、亡くなった魂がたどり着く場所です。」
あやとは、目の前にある光に声をかける。
「黒神だよな。俺はどうなったんだ?」
「あやとは、交通事故に会い、亡くなって、ここに来ました。」
「そうか。そうだ。黒香は?クロは?そうだ、父さんと母さん、クローバーも。」
「あやとが亡くなって悲しんでいます。」
黒神は、下を見た風になった。
下を見ると、映像が出てきた。
あやとは見ると、黒香は涙を浮かべて乱れ、クローバーはクロに寄り添い、父と母はとても悲しんでいた。
その隣には、桐生と緑川もいた。
「クロも一緒だったな。」
「はい。」
「悪い事をした。」
「そんな事ありませんよ。あやとは、黒香を生かせてくれた。」
黒神は、計画を話す。
「すべては黒香を生かす為に、あやとを利用したのです。黒香は、この地球の子供達には、とても大切な存在だと最高神は見出していました。ですが、黒香の両親が
黒香が能力に目覚める前に、交通事故で亡くすとは思わなかった。だから両親の代わりが欲しかった。そこで、あやとに目を付けた。」
「そんな事だと思った。」
「気づいて?」
「いつからかは知らないが、何故か、黒神の言う事には素直に従う様になっていた。多分、歯をぬいた時に何かしたのだろうと思っていた。それからは、自分の意思で動くよりも、操られている感覚になった。」
黒神は、正解を言われ、ほほ笑んだ。
「その通りです。あの時から、あやとを操りました。健康な両親が黒香には必要だったから、あやとにしたのもあります。」
「もう、亡くなったし、どうしようもないが……、この悲しみはどうしてくれる?」
「生きる目的は与えておきますよ。」
「だったら、クローバーを通じて、伝えてくれ。俺の残したモノを生かしてくれと。」
「わかりました。それ位はしましょう。」
「それとクローバーは、黒香にすごくなついている。そのまま黒香の守護として、一緒にいさせてくれ。」
「そうですね。」
映像を見ると、クローバーは、黒香の肩に乗って、自分の頭をスリスリしていた。
「あやとには、とてもご迷惑をかけましたね。」
「いいよ。別に。」
「そのお詫びとしてですが、この世界では、一つ仕事を与えようと思います。」
「仕事?」
黒神は、亡くなった世界の話しをする。
人間は亡くなると、天国か地獄か、分けられる。
その世界を体験した後、アカシックレコードに行き、自分の得意分野を磨きつつ、転生を待つ。
動物は、違う世界に行く。
「だけど、今回は、最高神が黒香を守る為とは言え、あやとを利用してしまったので、あやとは特別に天国、地獄ではなく、最高神の神殿で自由に仕事と決定された。」
「自由に仕事って、結局仕事させられるのか?」
「でも、仕事好きでしょ?」
「まあ、何もしないよりは……な。」
あやとは、黒神の導きのまま、最高神に会う為、神殿へと案内された。
地上の事は気になるが、自分が出来るのはここまでである。
最高神の神殿に来て、自分が住む部屋へと案内され、扉を開けると、そこには三メートルある白いフードをかぶった人がいた。
「ご苦労、黒神。この度の仕事、お礼は後程する。帰ってよし。」
「わかりました。」
黒神は、部屋から去った。
あやとは目の前にいる最高神と呼ばれた人を見ると。
「この度は、この最高神の願いを叶えてくれてありがとう。黒谷あやと。」
「い、いえ。」
「そこでだ。この部屋を自由に使うがいい。やってもらう仕事内容だが……。」
あやとは、最高神からの説明を聞きつつ、黒香の幸せを祈っていた。
仕事が自分の身体に染み込み、接続して貰ったネットで情報を見ると、そこには、アヤト学園という世界の子供達の為、各国に学校を設立した人物が日本人でいるとニュースにあった。
アヤト学園を作った人の名前が、黒谷黒香。
黒香の横には、黒谷黒都と黒谷彩実がいて、社長が緑川直樹、副社長が桐生頬一となっていた。
そのニュースを見ると。
「あやと、今日、とても嬉しそうにゃ。」
「嬉しいよ。クロ。」
あやととクロは、仕事場の部屋から、柔らかく差し込む太陽の光を浴び、外を見ながら、微笑んだ。
終わり
黒猫と一緒 森林木 桜樹 @skrnmk12
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