第4話 北寸神拳
【北寸神拳】
それは一子相伝の対人拳にして、3000年間無敗の拳と呼べれている。
古の時代から続く拳法を、今なお受け継ぐ者がいた。
男の名は”セイシロウ”、北寸神拳の正当伝承者である。
悪を捌く拳ゆえに、その拳を身に着けた者には悪が寄り付く・・・
「腹減った・・・腹が・・・」
セイシロウは今にも倒れそうだった。北寸神拳伝承者と言えども生理現象には勝てないのである。
倒れたセイシロウは、そのまま警察に保護された。
「うーん、セイシロウね?で、苗字は?」
「俺は・・・セイシロウだ・・・」
「だから、苗字は何だって言ってるだろうが!」
警察が、警棒で叩こうとしてきた、がしかしセイシロウは人差し指一本で警棒を受け止める。
「おい、お前かつ丼を頼む」
「ひぇぇぇ化け物だぁぁぁ」
「いいからかつ丼をよこせ、腹が減って死にそうなんだ」
「わ、わっかりましたぁぁ。もしもし、こちら警察です!かつ家さんですか?かつ丼を一つお願いします。え、サイズですか?」
「特盛りで、みそ汁付きだ・・・」
「特盛で、みそ汁付きでお願いしますぅぅぅぅ」
威圧により、かつ丼を頼ませたセイシロウではあったが、その様子をモニターでみていた看守長が、セイシロウに対して怒りを露にする。
「なんだ?あのセイシロウとかいうやつはぁぁ。調子に乗ってかつ丼なんか頼ませやがって。しかもみそ汁付きで」
チビデブの看守長が喋る。
「気に食わねぇ。野郎どもあいつの準備をしろ!!」
「え!?看守長いいんですか?誰も制御できませんが・・・」
バキュン!! (看守長が銃を撃つ音)
「おい!他の奴もこいつと同じ目に会いたいのか?おいそこの貴様、おまえはどうだぁ?」
「は、はいぃぃぃ!!今すぐあいつを用意してきますぅぅ」
「わかれば良いのだ」
そういうと看守の一人が、厳重にロックされた独房の前まで走って言った。
その独房の中には身長10mはあろうかという大男が鎖に繋がれていた。
「おい!!!ヘル・リバース!!お前の出番だ!!」
看守はそういうと鎖の錠を外した。
「なんだぁ?腹減った・・・腹減ったぞぉぉぉ!!!!」
巨人の男はそういうと、あくびをするかの如く看守を吹き飛ばした。
「流石はヘル・リバース・・・これで、セイシロウの命も終わりだ」
看守長はモニターを見ながら呟いた。そして、館内放送のボタンを押し、マイクを手にした。
「諸君、今からこの憎きセイシロウと伝説の男ヘル・リバースの戦いを開始するっ!!こいつら、どちらが勝つかをそれぞれ賭けてくれ!!勝った方は、有給1日をプレゼントしよう。負けた方は・・・セイシロウと同じ目を遭わせてやるぅ!!」
「おおおおおおお、ヘル・リバース!!ヘル・リバース!!ヘル・リバース!!」
この牢獄全体に、ヘル・リバースコールが流れる。
そして、闘いのゴングが鳴った。
序盤からヘル・リバースの猛攻がセイシロウを襲う
「ぐぁぁぁぁぁ」
「ボクシングがあれほど、細かく階級分けされているように、格闘技において体重というのは勝敗そのものを分けるのだ・・・ヘル・リバースとセイシロウの身長差は約8m。セイシロウに勝機はない」
胸が小躍りするのを看守長は感じていた。
(くそっ思った以上に攻撃が重たい・・・どうすれば・・・)
セイシロウが、見上げた瞬間、彼の目に黒い物体が写った。
黒い野球の服を着た男が猛スピードで、走っている。
ヘル・リバースのあまりの猛攻により、建物全体が壊れようとしていたため、この男は走って避難していたのである。そして、黒い野球の服を着た男は、身体を屈ませ飛び立つ準備をした。
(なるほど・・・これだっ!!)
その様子を見たセイシロウは構えた。
本来、北寸神拳は一撃必殺の破壊拳。
「北寸・
セイシロウは奥義をヘル・リバースの脳天めがけて放つ。
黒い野球の服を着た男もヘッドスライディングにより、建物から脱出する。
「せっセーフ!!」
主審が判定をコールする。
「お前はもう・・・滑ってる・・・」
セイシロウがそう言うと、ヘル・リバースの頭部の半分が滑り落ちた。その様はまさに、ヘッドスライディングそのものであった。
ドドドドドドドドド
そして建物は崩れ去った。
北寸神拳あるところに闇はある・・・
セイシロウの戦いは、まだまだこれからだ。
ヘッドスライディングを極めた男 ☆くらっしー☆ @kurara477
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