妻人


 女性は夫人と書いて夫の人

ならば男はどうか?

妻人さいじんとは呼ばれない

男には僅かに自由で少しずるい


苦しいと溢せば つらさ増すばかり

だから限界までは唇噛み締める

だけど我慢も溢れたなら もう堪えきれない


夏に晒された素肌は散る花だと

路地裏から手招く妖美な魔が囁く

愛を誓った星降る下は紛れもない

されど この愛もあの愛も心から嘘じゃない

胸のひび割れを埋めたかっただけの愛


あとは幸せを模した夢を見るだけ

その先の事はまだ未知のかたまり

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